2014 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患に対する薬物療法および栄養療法の機構論的解析に基づいた根治療法の開発
Project/Area Number |
24590216
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
富田 幹雄 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (60207610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧沢 裕輔 東京薬科大学, 薬学部, 助教 (40453807) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / Methylprednisolone / P-glycoprotein / 薬物療法 / 栄養療法 / 必須不飽和脂肪酸 / Dextran sodium sulfate |
Outline of Annual Research Achievements |
腸管に慢性の炎症を引き起こす炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)は、難治性の疾患であり特定疾患に指定されている。しかしながら、これら疾患に対する根治療法は無く、P-gpの基質であるステロイドあるいは免疫抑制剤により、活動状態を寛解状態に導く対症療法が施行されている。我々は、薬物療法のさらなる効率化を狙う目的で栄養療法に着目し、小腸機能を高めることで治療薬の大腸送達を図ることを目指している。これらは薬物療法と栄養療法が相補的に最大限の効果を引き出すという独創的なアイデアである。我々は、Wistar系雄性ラットに5%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を3日間投与することで生化学的所見・病理学的所見がヒトと類似する病態モデル(以下DSSラット)を作成し、DSSラットは小腸P-gpタンパク発現レベルおよびP-gp機能レベルが低下していることを確認した。次にDSSラットに対して栄養療法として用いた必修不飽和脂肪酸リノール酸(LA)、リノレン酸(LnA)は低下したタンパク発現レベルおよび機能レベルを経日的に回復させ、これらは核内レセプターを介した機構であることも示された。なおP-gpの相対活性も両脂肪酸投与により上昇することが認められた。以上、薬物療法の第一選択薬であるメチルプレドニゾロン(MP)の小腸からの全身移行が抑えられ、MPの大腸ターゲテイングが高まると推察できたことから、現在MPの小腸からの吸収動態と血中濃度推移の速度論解析を行っている。なお炎症性エイコサノイドを産生するn-6系のLAおよび抗炎症性のエイコサノイドを産生するn-3系のLnAはともに改善効果を示したことから、さらなる検討が必要である。Caco-2細胞を用いて非炎症性の腸管膜を用いて両脂肪酸のP-gp発現レベル、機能レベルに対する影響を検討した結果、機能レベルの上昇が示された。EPA、DHAについても同様の結果であった。
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Research Products
(5 results)