2013 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病治療への臨床応用を目指した骨髄由来ミクログリア様細胞移植の解析
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24590222
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
高田 和幸 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (10434664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 佳久 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (60195295)
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Keywords | 移植・再生医療 / 神経科学 / 痴呆 / トランスレーショナルリサーチ / 脳神経疾患 / アルツハイマー病 / ミクログリア / 骨髄幹細胞 |
Research Abstract |
アルツハイマー病は加齢を最大の危険因子としており、超高齢化社会を迎える日本において、根本的治療法を一刻も早く開発しなければならない。その根本的治療法は、アミロイドβの異常蓄積により引き起こされる神経細胞死から神経細胞を保護することであり,究極的には既に失われた神経細胞を補充し、神経ネットワークを再構築することである。本申請課題では幹細胞を用いた細胞療法の観点から、アルツハイマー病を含む神経変性疾患に対する治療戦略の開発を目指すものである。その幹細胞として骨髄細胞に着目しており、本年度の解析では神経毒(ロテノン)により引き起こされる神経細胞死に対して、骨髄に含まれる間葉系幹細胞ならびに造血幹細胞移植の効果を解析した。その結果、間葉系幹細胞ならびに造血幹細胞をロテノン投与したマウスに移植すると神経保護に作用することがわかり、さらにそのメカニズムについては、移植細胞から産生されるglial cell line-derived neurotrophic factorのような神経栄養因子が関与することが示唆された。この成果は、骨髄由来ミクログリア様細胞の移植による細胞治療戦略の開発においても重要な知見であり、骨髄細胞から調製されるミクログリア様細胞は、アミロイドβの貪食機能だけではなく、神経栄養因子の産生により治療効果を発現する可能性が示唆され、更なる効果が期待できることがわかった。今後の移植細胞の調製について更なる工夫が考えられ、三年度目以降の解析に大変役立つ意義深い研究成果を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の年次計画通り骨髄幹細胞からミクログリア様のAβ貪食細胞をマウスに移植してその脳移行性について解析が進んでいる。採取した骨髄細胞そのものを用いた移植も並行して解析しており、細胞の移行性への影響を検討している。投与経路についても、脳室内ならび尾静脈からの投与をおこなっており、投与経路の違いによる影響も解析できつつある。しかしながら、細胞移植による脳内アミロイドβや認知機能に対する作用は解析途中であり、この点についてはさらに解析を続ける必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に得られた結果を基に、平成26年度は投与細胞や投与経路を工夫し、より脳移行性に有利な条件で移植をおこない脳内アミロイドβや認知機能に対する作用を詳細に解析する。また、脳移行性を高める薬剤(マンニトールなど)の併用投与なども実施し、浸透圧変化を利用した血管への浸潤性の亢進による脳移行性の促進を試み、より臨床応用において効果的な移植条件を探索する。さらには神経原線維変化を発症するアルツハイマーモデルマウスへの投与をおこない、アミロイドβだけでなく、神経原線維変化に対する作用とそのメカニズムについて解析し、細胞移植療法の有用性を評価する。
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Research Products
(6 results)