2012 Fiscal Year Research-status Report
多発性骨髄腫における抗癌剤耐性機序の解明とシグナル伝達阻害薬を用いた耐性克服
Project/Area Number |
24590224
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
西田 升三 近畿大学, 薬学部, 教授 (40208187)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 多発性骨髄腫 / 抗癌剤耐性 / CAM-DR |
Research Abstract |
多発性骨髄腫は予後不良の造血器系腫瘍で多くの場合、化学療法に抵抗性を示し、治癒に至る治療が困難となっている。この抗癌剤耐性にはP-糖タンパク、MRP1などのABCトランスポーターなどの高発現が示されているが、その詳細は明らかとなっていない。また、多発性骨髄腫の抗癌剤耐性には骨微小環境中に存在する骨芽細胞などとの接着が関与すること(cell adhesion mediated drug resistance:CAM-DR)も明らかとなっているがその詳細も不明である。本研究では樹立したアドリアマイシン耐性骨髄腫細胞株(RPMI8226/ADM)、ビンクリスチン耐性骨髄腫細胞株(RPMI8226/VCR)、デキサメタゾン耐性骨髄腫細胞株(RPMI8226/DEX)、メルファラン耐性骨髄腫細胞株(RPMI8226/L-PAM)と親株(RPMI8226)を用いて、抗癌剤耐性獲得機序の解明を目指すために検討を行った。まず、樹立した耐性株が他の抗癌剤に対して耐性を示すことを確認した。次にトランスポーターの発現をreal time PCR及びwestern blottingにて検討したところ、MDR1のみに発現増加が認められた。また、細胞生存関連因子についてwestern blottingにて発現を確認したところ、survivinの発現増加、Bimの発現低下が認められた。これらの発現変化が抗癌剤耐性に関与することが考えられたため、siRNAを用いて検討した。その結果、MDR1、survivin及びBimは抗癌剤耐性に関与することを明らかにした。さらにCAM-DRに関与する因子の検討ではアポトーシス関連因子の発現が変動することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度において、既に作成済みの抗癌剤耐性株(RPMI8226/ADM、RPMI8226/VCR、RPMI8226/DEX、RPMI8226/L-PAM)を用いて、real time PCR及びimmunoblottingにより抗癌剤耐性獲得に関与する因子について検討し、MDR1やsurvivinの発現増加及びBimの発現低下を明らかにした。また、siRNAを用いた検討により、これらの因子が抗癌剤耐性の実行因子であることも認めている。それらを調節するシグナル伝達因子についても解析中であり、ERK及びAktなど数種類の因子の活性化を認めている。さらに、活性化が認められたシグナル伝達因子の阻害薬(分子標的薬)により、抗癌剤耐性を克服することも実験例は少ないが確認している。 抗癌剤耐性株の作成については、ボルテゾミブ耐性株の作成を行い、耐性株を樹立した。これらについても薬剤耐性に関わる因子やシグナル伝達因子の活性化について、real time PCR及びimmunoblottingにより解析を進めている。 CAM-DR誘導骨髄腫細胞の作成においては骨髄間質細胞との共培養にて抗癌剤耐性を確認しており、抗癌剤耐性に関わる実行因子及びシグナル伝達因子の解析を進めている。現在までにCAM-DRに関わる因子をreal time PCRあるいはimmunoblottigにより検討しており、受容体やアポトーシス関連因子が関与することを認めている。また、シグナル伝達因子については受容体下流の因子の解析を行っている。 これらのことから、研究計画通り、おおむね順調に進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は作成した抗癌剤耐性に関わるシグナル伝達因子の解析を中心に検討を進める。平成24年度では抗癌剤耐性、CAM-DRに関与する数種類のシグナル伝達因子の活性化を認めているが、それらが実際に抗癌剤耐性あるいはCAM-DRに関与するかは現在のところ不明である。そのため、抗癌剤耐性、CAM-DRに重要なシグナル伝達因子を同定し、シグナル伝達阻害薬(分子標的薬)により抗癌剤耐性及びCAM-DRが克服されるかを明らかにする。また、正常細胞への影響については検討できていない。そのため、耐性に関わるシグナル伝達因子の同定後、抗癌剤とシグナル伝達阻害薬の併用投与の検討を速やかに行い、in vitroレベルでの正常細胞に細胞死が誘導されないことを明らかにする。 抗癌剤耐性に関わる実行因子(アポトーシス調節因子や薬剤排泄トランスポーターなど)やシグナル伝達因子の検討において、ボルテゾミブ耐性株では同定できていない。そのため、この耐性株においてはreal time PCR及びimmunoblottingによる抗癌剤耐性に関わる因子やシグナル伝達因子の同定を試みる。これにより薬剤耐性に関わる候補因子を明らかにした後、siRNAを用いた検討により実行因子の同定を試みる。その後、活性化が認められたシグナル伝達因子阻害薬を用い、抗癌剤耐性が克服できるか検討を行う。またこの際、実行因子の発現に変動が誘導されるかも確認を行う。 上記を明らかにした後、担癌マウスを用いた検討によりシグナル伝達因子阻害薬での抗癌剤耐性克服効果を検討する。 また、これらにより成果が得られれば、順じ、論文投稿や学会発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Overexpression of MDR1 and survivin, and decreased Bim expression mediate multidrug-resistance in multiple myeloma cells.2012
Author(s)
Tsubaki M, Satou T, Itoh T, Imano M, Komai M, Nishinobo M, Yamashita M, Yanae M, Yamazoe Y, Nishida S.
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Journal Title
Leuk Res.
Volume: 36
Pages: 1315-1322
DOI
Peer Reviewed
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