2013 Fiscal Year Research-status Report
培養味蕾細胞と膜電位感受性色素を組み合わせたハイブリッド型味覚センサの開発
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24590226
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
内田 享弘 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (70203536)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 都 武庫川女子大学, 薬学部, 講師 (20369028)
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Keywords | 味蕾細胞 / 膜電位 / 膜電位感受性色素 / 硫酸キニジン / クラリスロマイシン / フルボキサミン / 精神神経疾患薬 |
Research Abstract |
平成25年度は、当研究室での既報に従い、膜電位を測定して膜電位感受性色素により得られた蛍光強度と乖離がないかを確認した。次に、膜電位感受性色素入り培地に培養味蕾細胞を播種後、アルカロイドであるキニーネ、循環器用薬剤のキニジン、マクロライド系であるエリスロマイシン・クラリロマイシン、抗精神薬のフルボキサミンなどの多種類の構造が異なる基質を添加し、発生した膜電位を蛍光色素により定量した。実験データについては、化合物群ごとに、データベース化を行い、膜電位変化と蛍光強度により膜電位変化を解析した。特に化合物の分子量、塩基性・酸性、分配係数などの指標に基づいて、一定時間での膜電位強度の評価、変化パターン(増強パターン、減衰パターン)の関数化、膜電位強度測定、パターン分析などを用いて多角的に評価を行い、どの指標、パラメータが最も苦味評価に適しているかを統計的に検証したところ、塩基性薬物と酸性薬物では膜電位強度変化のパターンが認められ、塩基性薬剤の方が膜電位強度も強いことが明らかになった。また、薬効群ごとでは、向精神薬のフルボキサミンやエリスロマイシン・クラリロマイシンの物性についてもデータを纏めた。向精神薬のフルボキサミンにおいては薬剤濃度を変化させて膜電位強度測定、パターン分析をおこなったところ向精神薬のフルボキサミンにおいては強い膜電位の上昇を観察したが、一定濃度以上で反応する膜電位強度に飽和現象が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験の初期段階で、当研究室での既報に従い、膜電位を測定して膜電位感受性色素により得られた蛍光強度と乖離がないかを確認したことで、安定したデータどりが可能であった。 アルカロイドであるキニーネ、循環器用薬剤のキニジン、マクロライド系であるエリスロマイシン・クラリロマイシン、抗精神薬のフルボキサミンなどの多種類の構造が異なる基質を異なる濃度で添加し、発生した膜電位を蛍光色素により迅速に測定可能であったことから予定通り実験は進捗した。なお実験データについては、化合物群ごとに、データベース化を行い、膜電位変化と蛍光強度により膜電位変化を解析し、当初予定していた実験課題を行うことができた。 これからの事実と経緯から研究計画はおおむね順調に進捗していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度 研究計画・方法は以下のとおりである。 膜電位感受性色素入り培地に培養味蕾細胞を播種後、キニーネ以外のアルカロイド、マクロライド、抗精神薬など、多種類の構造が異なる基質を添加し、発生した膜電位を蛍光色素により定量する実験の再現性を確認するとともに、それらの膜電位強度とパターンについてデータべース化する。 とくに複数の薬剤群ごとの膜電位変化もデータベース化する。化合物の分子量、塩基性・酸性、分配係数などの指標に基づいて、一定時間での膜電位強度の評価、変化パターン(増強パターン、減衰パターン)の関数化、膜電位強度測定、パターン分析などを用いて多角的に評価し、どの指標、パラメータが最も苦味評価に適しているかを統計的に検証する。また、共焦点レーザーのデータ解析による細胞興奮の時間的プロファイルと本評価系の膜電位強度変換のプロファイルについも検討も合わせて行う。 最終的には上記検討結果より、培養味細胞と膜電位感受性色素を組み合わせることで従来困難であった安全性が確立されていない薬剤への応用や新規苦味抑制剤の探索系として非常に優れたモデルであることを検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
統計ソフト、HPLC分析用カラムの購入を予定していたが、最適なものを選択するために情報収集の時間を要するため、購入を次年度に見送ることにした。 化合物の分子量、塩基性・酸性、分配係数などの指標に基づいて、一定時間での膜電位強度の評価、変化パターン(増強パターン、減衰パターン)の関数化、膜電位強度測定、パターン分析などを用いて多角的に評価し、どの指標、パラメータが最も苦味評価に適しているかを統計的に検証する。 平成26年度使用額の78万円のうち、48万円を消耗品、30万円を学会等での発表や論文作成に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)