2013 Fiscal Year Research-status Report
薬物結合抗体の動態関連分子結合性が細胞内・体内動態に及ぼす影響の解明
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24590229
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
鈴木 琢雄 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 研究員 (10415466)
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Keywords | 薬物結合抗体(抗体薬物複合体) / 動態 / 受容体親和性 / 抗原親和性 / FcRn / FcγR / イメージング / 安全性 |
Research Abstract |
薬物結合抗体(抗体薬物複合体:ADC)は細胞傷害性の強い低分子薬物が結合されているため、有効性・安全性確保には適切な薬物放出を含めた動態の制御が重要である。しかし、薬物結合状態が異なることによる結合特性(FcRn、FcγR等の受容体結合性や抗原結合性)の変化と、細胞内・体内動態への影響には不明な点が多く、安全性上懸念が残る。本研究では、このような動態に関する不明点を明らかにすることを目的とし、細胞内・生体内のADC動態解析法を開発して解析を行う。 本年度は、化合物として蛍光色素2種を抗体に結合し、化合物(蛍光色素)放出により蛍光共鳴エネルギー遷移(FRET)効率が変化するようデザインした化合物結合抗体(ADCモデル)を用いて、主にADCの抗原(HER2)結合性の測定系、細胞内の動態及び化合物放出性の評価法、体内動態解析法の構築を進めた。抗原(HER2)結合性の測定系としては、表面プラズモン共鳴法を用いた測定系を構築した。正確な解離定数算出のために、追加の条件至適化が必要ではあるが、ADCモデルの抗原結合能の違いが観察された。細胞内の動態及び化合物放出性の評価法としては、共焦点レーザー顕微鏡を用いたacceptor photobleaching法による評価法を構築した。本手法を用いて、ADCモデル(蛍光色素結合抗HER2抗体)がエンドソームに取り込まれ、時間経過と共に蛍光色素が遊離する様子が解析できた。また、体内動態解析法としては、FRET効率の変化を用いたspectral unmixing法により、結合した蛍光色素が遊離しているかどうかを解析することで、体内動態と化合物放出性を評価可能であることを確認した。さらに、蛍光標識抗原を用いた細胞内導入効率評価法の構築にも着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、化合物(蛍光色素)放出により蛍光共鳴エネルギー遷移(FRET)効率が変化するようデザインした各種ADCモデルの作製を行った。また、一部条件の至適化が必要ではあるが、既に構築済みの手法と合わせ、抗原結合性及び受容体(FcRn、FcγR)結合性の全てに対し解析系を用意した。さらに、抗原結合性や受容体結合性が異なるADCモデルの、動態及び化合物放出性を評価するための細胞内動態解析法・体内動態解析法を構築すると共に、蛍光標識抗原を用いた細胞内導入効率評価法の構築にも着手しており、おおむね計画通りに進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、作製したADCモデル、及び、さらに標識数、標識方法および標識化合物を変えたADCモデルについて、動態関連受容体(FcRn、FcγR)親和性や抗原結合性を解析する。また、構築した共焦点レーザー顕微鏡を用いた細胞内動態解析法等を用い、主に以下の3点について検討を行う。①ADCは通常の抗体と同様、血管内皮細胞や樹状細胞等にピノサイトーシスにより非特異的に取り込まれると考えられる。FcRn結合性の変化が、非特異的な薬物放出に与える影響について検討する。②標的分子発現細胞において、標的分子やFcRnとの結合性変化が薬物放出に与える影響について検討する。③樹状細胞等においてFcγ受容体親和性の変化が薬物放出に与える影響について検討する。 また、蛍光標識標的分子を発現する細胞を用いたADCの導入効率評価法を開発し、化合物結合による細胞内導入効率の変化を解析する。 さらに、化合物結合による抗原結合性、Fc受容体結合性等の違いが体内動態に与える影響を解析するために、構築したADCの体内動態解析法を用い、抗原結合性、Fc受容体結合性と体内動態の関連について明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は主に抗原結合性解析法、細胞内動態解析法、体内動態解析法等の手法開発を行ったため、使用額が低く抑えられた。来年度は、構築した手法を用いた各種ADCモデルの解析、及び追加のADCモデルの作製等を行うため、本年度と比較し、多くの補助金が必要となる。本年度からの繰越金を合わせこれらの研究に使用する。 次年度の研究費は主に、①抗体医薬品や抗体医薬品に結合させる化合物、及び、結合に用いる試薬、②結合性の変化を測定する表面プラズモン共鳴法関連の消耗品、③顕微鏡観察に用いる細胞培養の培地、ディッシュ、④体内動態解析に用いる動物等、の購入に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)