2013 Fiscal Year Research-status Report
発達過程におけるステロイド代謝の微小環境での変化と痛覚情報伝達との相互連関
Project/Area Number |
24590239
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
鶴尾 吉宏 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (90207449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 悠太 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (00580672)
伊藤 隆雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30315931)
上山 敬司 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50264875)
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Keywords | ステロイド代謝 / 痛覚 / 微小環境 / 情報伝達 / 発達 |
Research Abstract |
本研究は、GABAA 受容体と結合して鎮痛作用を示す神経ステロイドの産生に関与するステロイド代謝酵素の発現とその局在について脊髄と脊髄神経節を中心に形態学的に明らかにするのが目的である。そこで、、細胞膜に存在するGABAA受容体と結合して、抗不安、鎮静、鎮痛などの神経抑制作用を示し、また胎生期には神経細胞の増殖作用を示すことが知られているアロプレグナノロンを合成するステロイド代謝酵素である5α-reductaseと3α-hydoroxysteroid dehydrogenase (3α-HSD)の2つの酵素のうち、3α-HSDの中枢神経系内における発現に注目して、まず最初に成熟ラットの脳と脊髄に於ける3α-HSDの分布について免疫組織化学的に詳細に検索した。方法は、動物には成熟Wistar系ラットを用いて、4%PFA固定液で潅流および浸漬固定したあと、凍結背切片を作製し、ラット3α-HSDに対して自家作製したウサギポリクローナル抗体を用いて、HRPあるいは蛍光標識法を用いて切片を免疫染色した検鏡した。ラット3α-HSDに対する抗体の特性は、ラット3α-HSDを強制発現させたCOS-1細胞を用いて、ウエスタンブロッティングおよび免疫組織化学的に確認した。3α-HSD陽性細胞は、中枢神経系内に広く分布していたが、部位によってその発現には特徴がみられた。特に、嗅球、脳幹部には、多数の陽性細胞が認められた。3α-HSDの発現胞は、ニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイトに認められたが、ミクログリアには見られなかった。脊髄の灰白質、白質と脊髄後根神経節にも、多数の3α-HSD陽性細胞が認められた。これらの陽性細胞のいくつかは、痛覚の伝導経路と関連していることから、痛覚情報とこれら3α-HSD陽性細胞との関連性についも検討を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、細胞膜に存在するGABAA受容体と結合して、抗不安、鎮静、鎮痛などの神経抑制作用を示し、また胎生期には神経細胞の増殖作用を示すことが知られているアロプレグナノロンを合成するステロイド代謝酵素である5α-reductaseと3α-hydoroxysteroid dehydrogenase (3α-HSD)の2つの酵素のうち、3α-HSDの中枢神経系内の分布について、成熟時と発達過程における発現を追求し、さらに、陽イオン-塩素イオン-共輸送体分子との関係を疼痛モデル動物を使って解析する予定になっていたが、現在の研究進度はその途中の段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
ステロイド代謝酵素である5α-reductaseと3α-hydoroxysteroid dehydrogenase (3α-HSD)の2つの酵素のうち、3α-HSDの中枢神経系内の分布について、成熟時と発達過程における発現の解析に基づき、さらに、陽イオン-塩素イオン-共輸送体分子との関係を疼痛モデル動物を使ってさらに研究を推進する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験の予定が目的よりも遅れたため、使用金額が予定金額よりも下回った。 研究計画を迅速に進めて、所定の結果を得るために計画的に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)