2014 Fiscal Year Annual Research Report
生理的・病的条件下におけるリンパ管小孔を介する癌の転移機構の解明
Project/Area Number |
24590242
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
大城 久 東京医科大学, 医学部, 准教授 (60381513)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥寺 康司 横浜市立大学, 医学部, 講師 (10326027)
長尾 俊孝 東京医科大学, 医学部, 教授 (90276709)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | リンパ管小孔 / 漿膜 / 腹膜 / 胸膜 / 弁 / 逆行性リンパ行性転移 / 癌性腹水 / 癌性胸水 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度はリンパ管小孔への癌転移の予測因子とその病態について検討した. 多重ロジスティック回帰分析の結果,肺靱帯リンパ管小孔への癌転移の予測因子となったのは静脈角リンパ節転移と肺靭帯以外の胸膜転移であり,横隔腹膜リンパ管小孔への癌転移の予測因子となったのは上腹部傍大動脈リンパ節転移と横隔腹膜以外の腹膜転移であった. 通常,リンパ管小孔よりも下流に位置すると考えられている静脈角リンパ節や上腹部傍大動脈リンパ節への癌の転移が,リンパ管小孔への癌の転移を予測する独立した因子となったことは興味深い.というのも,リンパ管は集合リンパ管レベルになると弁を有し,生理的条件下では逆流を防止する機能を持っていると考えられているからである.したがって,癌細胞の逆行性リンパ行性転移,あるいは両方向性リンパ行性転移を成立させる解剖学的基盤ならびに病理学的基盤についてさらなる検討を加えた. その結果,ヒト中縦隔・後縦隔領域および上腹部傍大動脈周囲領域のリンパ管は複雑なChainを形成しており,必ずしも一方向性のリンパ流ではないこと,また,リンパ管小孔においては,両方向性の物質移動を可能にする構造が存在していることが明らかとなり,これらのことが各領域における癌の両方向性リンパ行性転移を成立させる解剖学的基盤の一つとなると考えられた.さらに,癌のリンパ管侵襲に引き続いて起こる下流リンパ管内圧の上昇やリンパ管の過度な拡張や収縮障害,癌細胞のリンパ管内皮細胞への癒着による弁の閉鎖不全や弁破壊等が,弁を有するリンパ管における逆行性リンパ行性癌転移を成立させる病理学的基盤になると考えられた.
|
Research Products
(14 results)
-
-
[Journal Article] Lymphatic Stomata in the Adult Human Pulmonary Ligament2015
Author(s)
Oshiro H, Miura M, Iobe H, Kudo T, Shimazu Y, Aoba T, Okudela K, Nagahama K, Sakamaki K, Yoshida M, Nagao T, Nakaya T, Kurata A, Ohtani O.
-
Journal Title
Lymphat Res Biol
Volume: 13
Pages: 137-145
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
-
-
-
-
[Presentation] 胃原発Hepatoid AdenocarcinomaとNeuroendocrine Carcinomaを合併した一例2014
Author(s)
高橋 恒輔, 星野 澄人, 西村 絵美, 太田 喜洋, 須田 健, 立花 慎吾, 勝又 健次, 土田 明彦, 大城 久, 松林 純, 長尾 俊孝
Organizer
第76回日本臨床外科学会総会
Place of Presentation
郡山市民文化センター (福島県郡山市)
Year and Date
2014-11-20 – 2014-11-22
-
[Presentation] 乳腺原発Giant cell tumor of borderline malignancyの1例2014
Author(s)
山田 公人, 河手 敬彦, 海瀬 博史, 細永 真理, 河合 佑子, 宮原 か奈, 上田 亜衣, 佐藤 永一, 松林 純, 大城 久, 三宅 真司, 小池 悦子, 黒田 雅彦, 長尾 俊孝, 石川 孝
Organizer
第53回日本臨床細胞学会秋期大会
Place of Presentation
下関市民会館 (山口県下関市)
Year and Date
2014-11-08 – 2014-11-09
-
[Presentation] 乳腺分泌癌の1例2014
Author(s)
桑原 淳, 三宅 真司, 片桐 仁子, 渡部 顕章, 礒本 愛子, 島田 ゆうか, 大塚 清花, 高橋 礼典, 大城 久, 松林 純, 長尾 俊孝
Organizer
第53回日本臨床細胞学会秋期大会
Place of Presentation
下関市民会館 (山口県下関市)
Year and Date
2014-11-08 – 2014-11-09
-
[Presentation] 乳腺原発腺様嚢胞癌3例の細胞像の検討2014
Author(s)
鈴木 恵美子, 小池 悦子, 三宅 真司, 稲垣 敦史, 石原 里佳子, 山口 真由実, 忽滑谷 昌平, 五百部 浩昭, 山田 公人, 大城 久, 松林 純, 長尾 俊孝
Organizer
第53回日本臨床細胞学会秋期大会
Place of Presentation
下関市民会館 (山口県下関市)
Year and Date
2014-11-08 – 2014-11-09
-
[Presentation] 肝臓に対する不可逆電気穿孔法(Irreversible electroporation, IRE)による病理組織学的変化2014
Author(s)
小林 功幸, 森安 史典, 杉本 勝俊, 安藤 真弓, 佐野 隆友, 宮田 祐樹, 平良 淳一, 今井 康晴, 中村 郁夫, 大城 久
Organizer
Japanese Digestive Disease Week 2014
Place of Presentation
神戸国際展示場 (兵庫県神戸市)
Year and Date
2014-10-23 – 2014-10-23
-
[Presentation] 悪性心嚢液貯留を予測する因子の検討2014
Author(s)
小池 悦子, 大城 久, 松林 純, 三宅 真司, 片桐 仁子, 渡部 顕章, 鈴木 恵美子, 礒本 愛子, 石原 里佳子, 長尾 俊孝
Organizer
第28回関東臨床細胞学会学術集会
Place of Presentation
ふじのくに千本松フォーラム (静岡県沼津市)
Year and Date
2014-09-13 – 2014-09-13
-
[Presentation] 心嚢液細胞診症例の臨床病理学的検討2014
Author(s)
小池 悦子, 大城 久, 松林 純, 三宅 真司, 片桐 仁子, 渡部 顕章, 鈴木 恵美子, 礒本 愛子, 石原 里佳子, 長尾 俊孝
Organizer
第55回日本臨床細胞学会総会
Place of Presentation
パシフィコ横浜 (神奈川県横浜市)
Year and Date
2014-06-06 – 2014-06-07
-
-