2014 Fiscal Year Research-status Report
神経板培養法を用いた頭部プラコード特異性形成の段階的機序の解明
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24590244
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
重谷 安代 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70431773)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 神経板培養 / ニワトリ胚 / 神経堤 / 前プラコード外胚葉 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニワトリ神経板の外植片培養によりDlx5を特徴的に発現する上皮細胞が得られたことから(論文作製中)、新たな仮説を導き出した。神経板外縁に存在する上皮細胞は神経板から由来し、Dlx5を発現する。この上皮細胞群のうち内側は神経堤を生じ、外側はPPEを生じると考えられる。そして神経板外植片培養から生じた上皮細胞は外側の上皮に相当するのではないかと考える。これが本当ならば、Dlx5を発現する上皮細胞列の最も内側縁からは神経堤が生じ、そのbasal側から脱上皮化が起こる。またその近隣外側の上皮からはPPEが生じるようになる。これを胚体内において調べるために、ニワトリ胚st7の神経板の横断切片を作製し、Dlx5 RNAプローブ、Slug抗体、laminin抗体の発現パターンについて多重蛍光染色を行い詳細に調べた。 その結果、SlugないしはDlx5の発現が認められる上皮細胞のbasal側にはlamininに染色された基底膜を見ることができるのだが、脱上皮化を起こす神経堤はきめの粗くなった基底膜を突き破って間葉系神経堤細胞として腹側へ移動する様子が観察された。この間葉系神経堤細胞が観察されたのは、Slugの染色性が確認された上皮からであり、そこにDlx5発現は若干重なるが、より濃く染まる領域はそれよりも外側のSlug発現ネガティブな領域であった。恐らく、この領域が前述の神経板外植片培養によって誘導された上皮細胞に相当し、のちにPPE特異的分子マーカーの発現が起こる領域と思われた(検証中)。なお、詳細な検証が必要であるものの予備実験から、誘導された上皮細胞塊をニワトリ胚頭部の表皮下に移植すると、三叉神経節細胞に取り込まれる様子が観察された(若松、私信)。これは脱上皮化を経た細胞が移動して内在性の三叉神経節細胞として取り込まれたと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
論文としてまとめているデータに手間が掛かり、また一方で新しく仮説を立て実験を立ち上げたために、そちらの実験を優先して進めているため。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階でまとめている論文にまつわる事項を最優先に行う。 上述のニワトリ胚体内における発現パターンの解析を続け、Six/Eyaの発現領域を確認して、神経板外縁上皮の特徴を詳しく調べる。その上で、神経板外縁上皮の微細形態を調べ、TEM像の作製を行う。可能であれば免疫電顕を行い、神経板外縁のDlx5およびSix/Eya陽性上皮細胞とSlug陽性神経堤の細胞との関係性を調べる。 また神経板培養で作製した細胞の採集方法が未だ確立できていない状態なので、神経板外植片から放射状に移動し形態変化した細胞群の辺縁部のみを採集できるべく、かつ出来るだけ手間の掛からない簡便に行える方法を模索する。これが成功したら、再度qPCRを実施し、既存のデータと比較検討を行う。 最後に、上の採集方法が確立していない現状では時間的に難しいとは思うが、もし可能であれば、昨年度予定していた、レンズや鼻と異なる性質を持つと思われる三叉神経形成機序を明らかにする実験を遂行する。HHst6胚の頭部前半を用いてFGF8を作用させる実験を行う。鼻プラコードとレンズプラコード分子マーカーとなる遺伝子に対するそれぞれのプライマープローブを作製し、qPCRを実施する。なおこの際も、新しい採集方法が必要である。
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Causes of Carryover |
研究計画に従って使用しているが、やむを得ず端数が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文出版に向けて必要な実験データの作製に使用する。かつ免疫電顕に掛かる費用も考慮する。
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Research Products
(2 results)