2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590249
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
柴田 昌宏 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (10343253)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | カテプシンD / ライソゾーム病 / リソソーム |
Research Abstract |
リソソームは細胞内で唯一酸性環境下にあるオルガネラで、数十種類の酸性加水分解酵素を有する。これらリソソーム酵素が先天的に欠損または機能不全になると、ライソゾーム病と呼ばれる先天性代謝異常疾患となる。ライソゾーム病にはムコ多糖症、ポンベ病、バッテン病、I-cell病など、現在約30種類の疾患が報告されており、欠損する酵素によってその症状は異なるが、本来リソソームで分解されるべき基質(糖、脂質、タンパク質など)が蓄積するということが共通している。ライソゾーム病の治療には酵素補充療法と骨髄移植が知られており、リソソーム酵素が細胞へ取り込まれることによってある程度良好な効果が得られている。しかし、リソソーム酵素が血液脳関門を越えることが出来ないため、中枢神経系に対しては有意義な効果を得るに至っていないのが現状である。 申請者はこれまで、メダカ由来のTol2トランスポゾンを用いた鶏胚への遺伝子導入モデルを利用し、末梢神経のリソソームの可視化を試みてきた。本法を用いることにより、脊髄でリソソームの生体観察が出来る可能性を示してきた。本年度は、昨年度に続き鶏胚でリソソーム病モデルを構築することを試みた。カテプシンD遺伝子に蛍光タンパクEGFPを融合させ遺伝子を鶏胚にエレクトロポレーション法で導入し、TUNEL染色により細胞死の検討を行った。カテプシンD遺伝子の導入により、神経細胞が顕著に細胞死を起こしていること、カテプシンDの阻害剤であるpepstatin Aを投与した鶏胚では細胞死が抑制されることが分かった。さらに同じリソソームプロテアーゼであるカテプシンB遺伝子を導入した場合、細胞死が誘導されなかった。以上の結果から、鶏胚の細胞死にはリソソームプロテアーゼの中で特にカテプシンDの活性が重要な役割を果たしていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
安定的に遺伝子導入と観察が行えるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
カテプシンDの酵素活性により細胞死が誘導されるため、生体観察が出来ないことが分かった。今後はカテプシンDの酵素活性を無くした変異体を作製し、同遺伝子の導入を行って生体観察を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は鶏胚を用いたリソソーム病モデルの構築に成功したが、細胞死が早期に誘導されることが分かったため、当初の目的であった生体観察に問題があることがわかった。本年度は細胞死の誘導機構について解析を進めたため、当初予定の予算に繰り越しが生じた。平成25年度は本年度の繰り越し予算を加え、遺伝子変異体を網羅的に作製し、生体観察に適したコンストラクトの構築を目指す。 カテプシンD変異体は、活性中心にある2つのアスパラギン酸残基の両方またはどちらか1方を適切なアミノ酸残基に置換した変異体を作製する。培養細胞に同コンストラクトをトランスフェクトし、細胞内局在に変化を与えない変異体を選別する。同変異体を鶏胚へ導入し、TUNEL反応により細胞死を誘導しているかどうか確認する。細胞死を誘導しない変異体を用いて、引き続き生体観察を行う。
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Research Products
(4 results)