2012 Fiscal Year Research-status Report
消化管における新しい機能調節素子としての線維芽細胞
Project/Area Number |
24590250
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
飯野 哲 福井大学, 医学部, 教授 (40242854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀口 里美 福井大学, 医学部, 特命助教 (00595283)
堀口 和秀 福井大学, 医学部, 講師 (20377451)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 消化管 / 線維芽細胞 / カハール介在細胞 / 消化管神経 / PDGF受容体 / c-Kit |
Research Abstract |
線維芽細胞の持つ臓器調節機能を明らかにすることを目的に、消化管におけるその分子形態学的基盤を明らかにする研究を遂行している。線維芽細胞は間質を埋め、結合組織を作る働きに加え、臓器機能、たとえば消化管運動の調節に関与する機能的細胞であるとの見地から本研究を進めている。 消化管筋層において線維芽細胞(fibroblast-like cells)の免疫学的表現型はPDGF受容体α、SK3カリウムチャネルを発現する細胞として明確に同定される。一方、消化管粘膜では上皮直下の線維芽細胞(筋線維芽細胞)はPDGF受容体α発現細胞、間質の線維芽細胞はPDGF受容体β発現細胞として同定されることが明らかとなった。また、線維芽細胞系に発現の知られるCD34およびサイトグロビンもこれら細胞に発現することが観察された。 線維芽細胞の分子基盤を求めるため、PDGF受容体α-EGFPマウスを用いて粘膜と筋層よりセルソーターにより線維芽細胞の分離と収集、および収集細胞から抽出したmRNAを用いたDNAマイクロアレイを行った。今後、発現分子の解析とその意義について研究を進める予定である。 消化管筋層の線維芽細胞はSK3カリウムチャネルを発現しプリン受容体mRNA発現とプリンシグナルに反応することから、抑制性神経伝達としてのATP受容を行っていると考えられている。興奮性神経伝達について検討を進めたところ、ムスカリン受容体性アセチルコリン受容体のうちM2およびM3サブタイプのmRNA発現およびM2受容体発現を観察し、加えて線維芽細胞周囲にコリン作動性神経終末(vesicular acetylcholine transporter)の発現を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
消化管における線維芽細胞を同定するための基準(免疫組織化学的表現型、マーカー)が明らかになり、形態学的に研究を安定して行うことが出来るようになった。加えてレポーターマウス(PDGF受容体α-EGFPマウス、c-Kit-copGFPマウス)を利用できる環境が整ったことにより、細胞の分取解析が順調に進んでいる。c-Kit-copGFPマウスからカハール介在細胞を分取し解析することが本年は行うことが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確立した手法を用いて線維芽細胞の特性をさらに明らかとする。特にCD34やサイトグロビンなどの線維芽細胞発現分子の詳細な解析を進める。また、発現分子の解析に本年出来なかったカハール介在細胞(c-Kit-copGFPマウスからカハール介在細胞を分取)を加えることで、消化管筋層の間質細胞2種類の異同をさらに明らかにする。両者の消化管運動における意義が明らかになれば、病態との関連について新たな視点をもたらしうると考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費としては動物の購入使用、および実験用消耗品の購入が主たるものとなる。本年度研究費に残額が出たが、マイクロアレイ解析に予定していたカハール介在細胞をc-Kit-copGFPマウスから分取することが完全に終了しなかったことによる。
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Research Products
(5 results)