2013 Fiscal Year Research-status Report
消化管における新しい機能調節素子としての線維芽細胞
Project/Area Number |
24590250
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
飯野 哲 福井大学, 医学部, 教授 (40242854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀口 里美 福井大学, 医学部, 特命助教 (00595283)
堀口 和秀 福井大学, 医学部, 講師 (20377451)
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Keywords | 消化管 / 線維芽細胞 / カハール介在細胞 / 消化管神経 / PDGF受容体 / c-Kit |
Research Abstract |
線維芽細胞の持つ臓器調節機能の解明を目指し、消化管におけるその分子形態学的基盤を明らかにする研究を遂行している。線維芽細胞は間質を埋め、結合組織を作る働きに加え、臓器機能、たとえば消化管運動の調節に関与する機能的細胞であるとの見地から本研究を進めている。 線維芽細胞の分子基盤を求めるため、PDGF受容体α-EGFPマウスを用いて粘膜と筋層よりセルソーターにより線維芽細胞の分離と収集、および収集細胞から抽出したmRNAを用いたDNAマイクロアレイを行った。同時に線維芽細胞に発現する分子の文献的調査を行った。その中から線維芽細胞に発現量の多い分子としてサイトグロビンを取り上げ、ペプチド抗体を作製、免疫組織化学法によりマウス消化管での発現を詳細に解析した。サイトグロビンは粘膜内の線維芽細胞に広く発現すると共に筋層内の線維芽細胞にも発現した。カハール介在細胞や神経細胞の一部にも発現が見られたが、平滑筋細胞や血管内皮細胞には発現が見られなかった。線維芽細胞におけるサイトグロビンの発現は同細胞が組織内において酸素を始めとするガス代謝に関与することを示唆している。 線維芽細胞の特性を探る中で類縁の細胞であるカハール介在細胞の消化管での分布を詳細に検討したところ、マウス盲腸筋層においてc-Kit陽性を示す平滑筋細胞を見いだした。同細胞はc-Kitと共にTMEM16Aを発現し、さらに平滑筋アクチンと平滑筋ミオシンを発現する細胞であった。電子顕微鏡による観察でも同細胞は平滑筋としての特徴を示していた。同細胞は周囲に神経要素が乏しくギャップ結合もないことから、筋層機能に直接関与する可能性は無いと考えられ、その機能的意義については今後さらに検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線維芽細胞およびカハール介在細胞を同定可能なレポーターマウス(それぞれPDGF受容体α-EGFPマウスおよびc-Kit-copGFPマウス)が十分に繁殖し、前者のマウスから線維芽細胞の分取と解析を行うことが出来た。また、線維芽細胞を解析するためのサイトグロビン抗体を複数種の動物に免疫し精製し、解析に用いることが出来た。加えてPDGFシグナルやその他の発生シグナルに関与する分子のレポーターマウス等を導入繁殖しており、解析を進めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確立した手法と資材を用いて線維芽細胞の特性を詳細に明らかにする。これまでにDNAマイクロアレイを含む解析から、線維芽細胞に特徴的な分子を見いだしている。それら分子群の発現解析を抗体とレポーターマウスを用いて進める。 またPDGFシグナルを用いた遺伝学的手法により線維芽細胞の除去を試みる。そのため現在動物を導入し繁殖中である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
導入予定の遺伝子改変マウスおよびダイヤモンドナイフを年度内に購入することが出来なかったため。 前年度購入予定のマウスやナイフは次年度始めに購入予定が決まっている。加えて助成金全体として動物を始めとする研究資材の調達を行い年度内に使用する計画である。
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Research Products
(7 results)