2013 Fiscal Year Research-status Report
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24590258
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Research Institution | Kagawa Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
古山 逹雄 香川県立保健医療大学, 教養部, 教授 (20238702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 忍 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90151571)
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Keywords | 血管形成 / リンパ管形成 |
Research Abstract |
FOXO1を血管内皮特異的に欠損するマウスを作成し、生後での網膜血管の形成を観察した。その結果、FOXO1欠損により網膜中心からの血管伸長が抑制されること、tip細胞数の増加傾向、tip細胞から伸びる突起の横方向への広がり傾向、分岐数の増加傾向などが示唆された。これらの観察を背景に、正常に伸長しつつある血管のtip細胞におけるFOXO1の細胞内局在および、そのリン酸化レベルを調節するAkt1の活性化について免疫組織学的に検討を加えた。FOXO1はtip細胞の核に局在しており、stalk細胞では核での局在が明らかに低下していた。またT308リン酸化Akt1の局在もまたtip細胞に局在していたことから、FOXO1の局在はAkt1以外の調節機構によって調節されている可能性が示唆された。次に、tip細胞の形成に重要なNotch経路の発現へのFOXO1の関与を明らかにするため、大動脈由来の内皮細胞およびHUVECに対して siRNA法によってFOXO1の発現を抑制して検討した。ウエスタンブロット法により検討したところJagged1の発現の上昇が認められた。Jagged1に対するmiRNAとして知られているmiRNA-34cの発現を検討したが明らかな変化は見出せなかった。最後にリンパ管形成について検討を開始した。、FOXO1の欠損でang2の発現が低下し、ang2の欠損ではリンパ管形成に異常が起こる。そこでFOXO1を欠損させたマウスの尻尾のリンパ管の形成過程を生後4-6日令で観察したところ、リンパ管網の形状に異常が観察された
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス大動脈から血管内皮細胞を単離培養し、この培養系を用いてsiRNAを使用してFOXO1の発現抑制ができることはウエスタンブロット法および定量PCRによって確認された。本研究の目的のひとつである、FOXO1欠損マウスのtip細胞においてPDGF-Bが発現抑制される仕組みを明らかにするため、この培養系を用いてPDGF-Bのプロモーター領域を用いたレポーターアッセイを行った。その結果、予期せぬことにsiRNAのネガティブコントロールを細胞に導入するだけでレポーター活性の増加がおこり、FOXO1のsiRNAを導入した場合にはsiRNA処理をしないレベルまでレポーター活性が上昇することが分かった。さらにこの現象はPDGF-BのプロモーターのTATAボックスの直上まで欠失させたレポーターでも観察され、TATAボックスを欠失させると消失した。これらの結果はHUVECでも全く同様であった。これらのことから、siRNA系を用いてFOXO1のPDGF-B転写活性機構を明らかにすることは現時点で不可能であるため、あらたな実験系を再構築する必要に迫られている。他の計画についてはほぼ予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
PDGF-Bの転写活性機構の解明は現時点で困難であるため、tip細胞でのFOXO1の機能解析と、リンパ管形成過程におけるFOXO1の機能解析に重点を移していく。 (1) tip細胞においてのみFOXO1が核内に局在することから、野生型マウスの網膜血管形成過程においてtip細胞に特異的に発現する遺伝子の転写調節に重要な役割を果たしていることが示されたので、whole mount in situ法を用いてtip細胞特異的に発現する遺伝子についてFOXO1欠損による発現変動を検討する。特に2009年のBlood誌においてtip細胞特異的に発現する遺伝子が多数同定されているため、これを用いて検討する。さらにFOXO1欠損マウスの網膜を利用してアレイ実験を行い更なる候補を同定する。 (2) FOXO1の発現抑制によりJagged1の発現が上昇してくることから、その調節機構を明らかにする。その一環としてmiRNAの関与が考えられることから、すでに知られているJagged1に対するmiRNAの発現変動を、内皮細胞培養系で検討する。さらにFOXO1欠損内皮細胞で発現変動するmiRNAの発現変動をmiRNAアレイ実験により網羅的に検討する。 (3) リンパ管形成過程に関与ことが知られている遺伝子のFOXO1欠損による発現変動を、尻尾のwhole mount in situ法を用いて行う。そのための準備として尻尾での実験系を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度は、マウスの作成等のトラブルにより計画に遅れにより、十分なサンプル採集ができなかったため、遺伝子アレイ実験を行うことができなかった。 今年度は、サンプルができ次第、遺伝子アレイ、miRNAアレイ実験を行い、その結果をもとに定量PCR、ウエスタンブロット等の実験を進める。
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