2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590260
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
秋元 義弘 杏林大学, 医学部, 准教授 (60184115)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 糖尿病性腎症 / 糸球体 / α-アクチニン / アクチン / O-GlcNAc / GKラット / 質量分析 / プロテオミクス |
Research Abstract |
糖尿病性腎症に伴う糸球体の分子構築の変化をO-GlcNAc化タンパク質を指標にして解明するために、糖尿病性腎症に伴いO-GlcNAc化が変化する糸球体タンパク質の同定とα-アクチニン4、アクチンにおけるO-GlcNAc修飾部位の同定を実施した。 糖尿病モデル動物(GKラット)と正常Wistarラット(15週齢、雄)を用いて、腎臓から糸球体を単離し(Katsuya et al. Kidney Int 2006の方法による)、さらに抗O-GlcNAc抗体を結合させた磁気ビーズで、O-GlcNAc化タンパク質を免疫沈降してから、糸球体構成タンパク質をLC-MS/MSにて分離、O-GlcNAc化タンパク質の量を比較し、糖尿病にて顕著に変化するO-GlcNAc化タンパクの同定を行った。その結果、糖尿病においてO-GlcNAc化が有意に変化するいくつかのタンパク質が同定された。 これまで行ってきた研究により糖尿病に伴いα-アクチニン4、チューブリン、アクチン、ミオシンなど糸球体の形態維持に重要な細胞骨格タンパク質にO-GlcNAc修飾の増加が認められた(Akimoto Y, et al. Clin. Proteom. 8: 15, 2011)。このうちα-アクチニン4はアクチンフィラメントを互いに架橋し、足突起の構造の維持、形態変化に関与し、またスリット膜の構造を維持の役割を担っていることが知られている。このことから、さらにα-アクチニン4とアクチンに注目し、O-GlcNAc修飾部位の同定を試みた。糖尿病GKラットの腎臓の総タンパク質を2次元電気泳動した後、α-アクチニン4とアクチンのスポットを切出し、LC-MS/MSによりO-GlcNAc修飾部位の同定を行った。しかし、レーザーによるイオン化の過程でO-GlcNAcが消失してしまい、修飾部位の同定をすることが出来なかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基礎研究棟の耐震補強工事が行なわれた関係で、基礎研究棟にある質量分析機器(LTQ Orbitrap Velos, Thermofisher)の使用が制限されたため、LC-MS/MSによるO-GlcNAc修飾タンパク質の同定に時間がかかってしまった。そのため予定していた、同定された糸球体構成タンパク質のO-GlcNAc化量の検討まで至らなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず同定された糸球体構成タンパク質のO-GlcNAc化量の検討を行う。同定された糸球体構成タンパク質のO-GlcNAc化の変動が、タンパク質自身の発現量の変化によるか、タンパク質の発現量は同じでO-GlcNAc化の変化によるものか、あるいは両者によるものかについて、抗体を用いた免疫沈降法とイムノブロット法により明らかにする。これにより明らかにO-GlcNAc化自身が有意に変化するタンパク質であるかどうかを検討する。 次に糖尿病の腎糸球体上皮細胞、内皮細胞、基底膜、メサンギウムにおける糸球体構成分子の局在を免疫組織化学により検討する。組織をアルデヒド前固定後、凍結切片を作製、前年度同定された糸球体構成分子に対する市販の抗体と反応させ、蛍光法またはHRP法にて局在部位を光顕的に観察する。電顕観察には、包埋前染色法(HRP標識法)、包埋後染色法(LR White包埋等/コロイド金標識法)、凍結超薄切片法(コロイド金標識法)を用いる。一方、市販されている抗体がない場合には、上記各組織よりタンパク質を抽出し、精製、抗血清(家兎)やモノクローナル抗体を作製する。並行して各組織のlysateを作製、イムノブロット法により組織内に含まれるタンパク質量の増減や消長を確認する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度に引き続き2次元電気泳動、質量分析、イムノブロットの実験に使用する試薬、市販の抗体(O-GlcNAcの抗体、2次抗体等)やWGAレクチン-アガロース、ポラロイドならびにX線フィルムなどの感光材料の購入や、免疫組織化学に必要な試薬の購入、市販されていない抗体を作製するために研究費を使用する。さらに国際学会での研究成果発表のため、外国旅費に使用する予定である。
|