2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590277
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大河内 善史 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90435818)
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Keywords | エキソサイトーシス / 走化性 / プロトンチャネル / 貪食細胞 / 炎症 |
Research Abstract |
前年度に続き、電位依存性プロトンチャネルVSOPが制御する脱顆粒についての研究を行った。VSOPは細胞膜だけでなく、細胞内小胞に蓄えられていることを明らかにしたが、脱顆粒の制御がどこで行われているかは不明だった。そこで、VSOPの阻害剤である亜鉛イオンを用いてエラスターゼ活性を指標にして脱顆粒のレベルを測定した。通常野生型の好中球はオキシダーゼを活性化する薬剤であるPMAで刺激されても、エラスターゼ活性はあまり促進されないが、亜鉛イオンで処理された野生型の好中球は、エラスターゼ活性の増加が見られた。その活性化レベルは、VSOP機能が欠損した好中球と同じレベルだった。すなわち、細胞膜上のプロトンチャネルが脱顆粒を制御していることが明らかになった。VSOP機能が欠損した好中球は、過酸化水素の産生量が野生型よりも低下している。過酸化水素は、細胞内シグナル因子として機能するため、脱顆粒の亢進の原因になりうる。そこで、過酸化水素を細胞外液に加えて、脱顆粒の測定を行ったが、VSOP機能が欠損した好中球が示す脱顆粒の亢進を回復する効果は見られなかった。他の因子が脱顆粒の制御に関与すると考えられる。 上記の異常以外に、VSOP機能が欠損した好中球では、走化性に異常が見られることが分かった。走化性の異常について詳細に調べた。走化性異常は、fMLPという細菌由来の因子において野生型よりも多くの細胞が移動することが明らかになった。移動速度、移動距離、移動の角度において、野生型とVSOP機能が欠損した好中球間で差は見られなかった。すなわち、走化性自体が異常というよりも、むしろ他の因子が異常になっている可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロトンチャネルが制御する因子である膜電位がかかわる新たな機能を発見したことである。脱顆粒、走化性ともに、従来プロトンや膜電位の関与はほとんど報告がないため、重要な発見である。
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Strategy for Future Research Activity |
脱顆粒を制御する因子を探索する。方法としては、電気生理学的方法を用いて、脱顆粒時に増加する膜面積を膜容量の変化として検出する。膜電位、pHをコントロールしたときの、膜容量の変化をもとに、考察する。 走化性異常をより詳細に解析する。他の走化性因子に対する異常の有無、野生型よりも多くの細胞がfMLPに対して移動する原因を探る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていくうえで必要に応じて研究費を執行したが、当初の見込み額と執行額は異なった。 研究計画に変更はなく、前年度の研究費を含めて、当初の予定通り計画を進めていく。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] X-ray crystal structure of voltage-gated proton channel.2014
Author(s)
Takeshita K, Sakata S, Yamashita E, Fujiwara Y, Kawanabe A, Kurokawa T, Okochi Y, Matsuda M, Narita H, Okamura Y, Nakagawa A.
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Journal Title
Nat Struct Mol Biol.
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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