2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24590277
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大河内 善史 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90435818)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プロトンチャネル / 貪食細胞 / 活性酸素 / pH / 膜電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
電位依存性プロトンチャネルが、マウスの好中球において、IgG刺激依存的に脱顆粒を抑制することを明らかにした内容が、専門誌であるJournal of Leukocyte Biologyに2016年1月号に掲載された。この内容は、本号の注目する論文として取り上げられただけでなく、同号の論説欄で取り上げられた。この発見は、プロトンチャネルが従来の活性酸素を正に制御する以外に、負に制御する側面を持つことが初めて示されただけでなく、分子機構が不明である脱顆粒の機構を理解する上で重要な発見である。 病原菌や死細胞を貪食する場であるファゴソーム(食胞)では、活性酸素、分解酵素の分泌が誘導され、ファゴソーム内外のイオン環境が急激に変化し、それに伴う膜電位の変化がダイナミックに起きると予想される。電位依存性プロトンチャネルはファゴソームに局在し、pH、膜電位を制御すると予想される。しかしながら、膜電位シグナル制御の役割、特にファゴソームにおける膜電位の役割を明らかにするためには、膜電位変化を可視化する技術が必要である。というのも、ファゴソームは細胞膜から分離し、細胞内に移行するため、電気生理学的手法が適用できない。申請者は、ファゴソーム膜電位の可視化技術を確立するために、当研究室にて開発された膜電位感受性蛍光タンパクMerm2を、マクロファージ系のマウス貪食細胞株RAW264.7に遺伝子導入し、安定株を樹立した。この安定株を用いて、貪食過程におけるファゴソーム膜電位の変化をモニターすることに成功した。Merm2-RAW細胞にIgGをコートしたラテックスビーズを貪食させることにより、ファゴソーム膜の膜電位変化をモニターした結果、ファゴソーム膜電位は、細胞膜電位よりも過分極側にシフトすることが分かった。
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Research Products
(6 results)