2012 Fiscal Year Research-status Report
E3活性を併せ持つ伸長因子Elongin Aの発生・神経形成における機能の解明
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24590279
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
安川 孝史 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (60291936)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 転写伸長因子 / 神経分化 |
Research Abstract |
Elongin Aホモ欠失マウス胚のホールマウントin situハイブリダイゼーション解析を行い、placodeマーカーのPax8、自律神経系の形成に必要なMash1の発現に差は認められないが、neural crestマーカーのSox10や感覚神経系の形成に必要なNgn1等の発現が顕著に減少していることが判明した。ES細胞を用いて胚様体を形成させ、免疫組織学的解析を行ったところ、レチノイン酸による分化誘導により、野性型細胞由来の胚様体では神経前駆細胞マーカーNestinや成熟神経細胞マーカーβIII-tubulinの発現が誘導され神経細胞へ分化が認められたのに対し、ホモ欠失細胞由来の胚様体では分化が見られなかった。また両胚様体共にアストロサイトマーカーのGFAP、オリゴデンドロサイトのマーカーCNPaseの発現は認められなかった。また、胚様体を用いたマイクロアレイ解析でElongin A欠失細胞で発現の低下が認められた、Neurogenin1、Neurogenin2、Hoxa7遺伝子についてChIP解析を行ったところ、野性型細胞ではレチノイン酸による分化誘導によりプロモーターならびにコーディング領域にPol IIの増加が検出されたのに対し、ホモ欠失細胞では増加が見られなかった。さらに、E3活性のみ、伸長活性のみを持つ変異体を用いたレスキュー実験を行い、Elongin Aの伸長機能が神経分化に重要であることが判明した。 以上のことから、Elongin Aが伸長機能を介して神経堤細胞の分化を指令するNgn1等の転写制御因子の発現を促進することにより、感覚神経系の形成に関与していることが示唆された。(Cell Reports, 2012)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Elongin Aが1)神経系の形成、なかでも感覚神経系の形成において重要な役割を果たしている、2)それにはElongin Aの伸長・E3の2つの機能のうち伸長機能が重要である、こと等を明らかにし、間接的ではあるがElongin Aの標的遺伝子と思われる幾つかの遺伝子を同定できた。そして得られた成果をCell Reportsに発表した。よって研究は概ね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
ChIP解析により標的遺伝子と思われるものを幾つか同定したが、抗Pol II 抗体によるもので直接的なデータはまだ得られていない。そこで抗Elongin A抗体を幾つか作製したので、それらを用いたChIP解析により確認を行う。 さらに、Elongin Aの標的遺伝子の網羅的探索を行うために、ES細胞ならびにマウス胚を用いてRNA-seqやChIP-seqによる解析を行う予定である。尚、共同研究先であるStowers研究所のConaway博士らとも連絡を密に取りながら研究を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
発生した繰越金、次年度の研究費は、遺伝子工学・生化学実験用試薬、細胞培養用試薬、プラスティック器具、RNA-seqならびにChIP-seqによる解析費、学会発表のための旅費に使用する。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Transcriptional Elongation Factor Elongin A Regulates Retinoic Acid-Induced Gene Expression during Neuronal Differentiation2012
Author(s)
Yasukawa T, Bhatt S, Takeuchi T, Kawauchi J, Takahashi H, Tsutsui A, Muraoka T, Inoue M, Tsuda M, Kitajima S, Conaway RC, Conaway JW, Trainor PA, Aso T
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 2
Pages: 1129-1136
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Role of Transcription Elongation Factor Elongin A in The Sensory Nervous System Development2012
Author(s)
Yasukawa T, Bhatt S, Takeuchi T, Kawauchi J, Takahashi H, Tsutsui A, Muraoka T, Inoue M, Tsuda M, Kitajima S, Conaway RC, Conaway JW, Trainor PA, Aso T
Organizer
日本分子生物学会
Place of Presentation
福岡国際会議場、マリンメッセ福岡 (福岡)
Year and Date
20121211-20121214
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