2012 Fiscal Year Research-status Report
虚血再灌流障害に対するプレおよびポストコンディショニング効果発現差異の解明
Project/Area Number |
24590284
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
鎌田 和浩 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80616350)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 虚血再灌流障害 / プレコンディショニング / ポストコンディショニング |
Research Abstract |
本研究では、生体モデルを用いて虚血プレコンディショニング及び虚血ポストコンディショニングの機序の一端を解明することにより、虚血の手技と同様の効果を期待できる作用を持つ物質を探ることを目標とした。C57BL/6Jマウスを使用し、虚血再灌流モデルを作成し、上腸間膜動脈に対し先行した虚血を施行する群としない群をそれぞれ血流の遮断を行い、再灌流させたのち、安楽死させ小腸を摘出、その組織障害の程度を判定することとした。判定には、組織の肉眼上評価、また小腸粘膜を採取し、組織中への好中球浸潤の指標となるMPO活性、TNF-αを測定することで評価を行い、先行虚血を施行した群において、施行しなかった群に比べ腸管局所での炎症は軽減していることが確認された。 次にCGRPとの関連について検討するためにCGRPの阻害薬を前投与し、その効果の変化を検討するとともにCGRPの前投与により同等の効果を得ることが可能であるかを検討し、その効果を確認した。また、NOとの関連を確認するためにNOドナーを前投与することにより、同等の効果を得ることが確認された。 CGRP,NOはいずれも強力な血管拡張作用を持つが、これらの再灌流障害軽減の効果は直接作用としてではなく、信号伝達物質としての役割が重要と考えられるが、その伝達経路の検討としてCGRPとNO阻害薬を投与した群、NOドナーとCGRP阻害薬を投与した群において虚血再灌流を施行し、それぞれの群で効果の変化を検討することにより、それらの関連が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の計画であった、マウス小腸虚血再灌流モデルを作成し、短時間の先行虚血による虚血プレコンディショニングの効果発現を確認できた。また、虚血プレコンディショニングおよび神経ペプチドであるCGRPとの関与を明らかにすることができ、次年度の計画であるNOとの関連についても検討した。CGRPやNOが虚血再灌流を軽減することを確認し、それぞれの効果発現に対する関与も明らかにすることが出来た。これらの結果より、次年度も引き続き同モデルを使用し、さらなる信号伝達経路の検討を継続する予定である。 一方、ポストコンディショニングのモデルに関しては、モデル作成の段階で虚血再灌流後の再虚血の時間を現在調節中である。問題点として、虚血再灌流後の再虚血の時間によりその効果が安定しないため、効果発現の安定する虚血時間の検討を継続、効果発現を確認した時点で虚血プレコンディショニングと同じ手法でその効果の差異を検討予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
虚血プレコンディショニングモデルに関しては一定の結果を得られたため、継続して同モデルを使用し、当初の計画通りCGRP、NOに引き続きCOについても検討予定である。CO releasing molecule(COドナー) を使用し、マウスの体内にCOを過剰発現させた状態で虚血再灌流障害を起こした際(COプレコンディショニングでの小腸粘膜の障害を評価し、COと虚血プレコンディショニングとの関連を検討予定である。またCOは体内ではHO-1より誘導されることを考慮し、同様にHO-1に関してもその関与を調べる。HO-1誘導体であるヘミンやHO-1の阻害薬を投与し、HO-1を虚血再灌流の前後にそれぞれ投与し、その効果を検討する予定である。 虚血ポストコンディショニングに関しては、現在、再灌流後の虚血時間を検討しそのモデル作成中であるがモデルが完成した時点で、今年度に虚血プレコンディショニングモデルで検討した、CGRP、NOについてその効果との関連を検討することとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画通り、主に実験動物、組織標本作成、実験試薬、動物に投与する薬品、実験器具に使用予定である。 また、研究成果発表、情報収集のための学会参加を予定している。
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Research Products
(1 results)