2013 Fiscal Year Research-status Report
虚血再灌流障害に対するプレおよびポストコンディショニング効果発現差異の解明
Project/Area Number |
24590284
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
鎌田 和浩 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80616350)
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Keywords | 虚血再灌流傷害 / プレコンディショニング / ポストコンディショニング |
Research Abstract |
57BL/6Jマウスを使用し、虚血再灌流モデルを作成した。麻酔下で開腹したのち上腸間膜動脈に対し10分間の虚血プレコンディショニングを施行する群としない群をそれぞれ45分間血流の遮断を行い、再灌流させたのち、4時間後に安楽死させ、小腸を摘出、その組織障害の程度を判定することとした。判定には、組織の肉眼上評価、また小腸粘膜を採取し、組織中への好中球浸潤の指標となるMPO活性、TNF-αを測定することで評価を行うこととした。虚血プレコンディショニングを施行した群において、施行しなかった群に比べ優位に腸管局所での炎症は軽減していることが確認された。 次に虚血プレコンディショニングに対比し、虚血ポストコンディショニングのモデルを作成した。麻酔下で開腹したのち上腸間膜動脈に対し45分間血流の遮断を行い、ポストコンディショニング群は再灌流のタイミングで30秒間の短い虚血再灌流を3回繰り返し試行させたのち、4時間の再灌流を施行した。4時間後に安楽死させ、小腸を摘出、その組織障害の程度をプレコンディショニング群と同様に判定した。判定には、組織の肉眼上評価、また小腸粘膜を採取し、組織中への好中球浸潤の指標となるMPO活性、TNF-αを測定することで評価を行い、虚血ポストコンディショニングを施行した群において、施行しなかった群に比べ優位に腸管局所での炎症は軽減していることが確認された。しかし、プレコンディショニング群に比べポストコンディショニング群では傷害軽減の程度は小さく、プレコンディショニングのほうがより効果があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の計画であった、マウス小腸虚血再灌流モデルを作成し、長時間の虚血直後に短時間の虚血再灌流による虚血ポストコンディショニングの効果発現を確認できた。今回は30秒の3サイクルでの効果が確認できたが、以前より継続で検討している虚血プレコンディショニングより効果は小さい結果であった。再灌流時間の設定に少し時間を要したが、4時間の再灌流時間が傷害の程度の比較に適当と考えられたため、今後も同様のタイムコースで行うこととする。本年度予定であった、虚血ポストコンディショニングのメカニズムに関してはまだ踏み込んだ検討ができていないため、継続してこのモデルを使用することとする。プレコンディショニングとポストコンディショニングについてその効果の強弱を検討できたため、機序にも差異があると考え、今後も並行して効果発現機序の検討を行う方向が決定可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
虚血プレコンディショニングに関しては当初の予定通り、CGRP、NOに引き続きCOについても検討予定である。同様にHO-1に関してもその関与を調べる。HO-1誘導体であるヘミンやHO-1の阻害薬を投与し、HO-1を虚血再灌流の前後にそれぞれ投与し、その効果を検討する予定である。現在までの検討で、わかっていることに関してはその結果をポストコンディショニングに活用し、同じ薬剤を使用し同様の効果が2つの処置で発現するかを検証する。 具体的には。虚血プレコンディショニングの検討後、虚血ポストコンディショニングについても本年度施行できなかった、CGRP、NO、またCOについても虚血プレコンディショニング同様の検討を行い、どのタイミングでの薬剤投与が効果発現に有効化かも含め、検討予定である。当初、ラットでの検討も考慮していたが、現在マウスのモデルで効果発現を得られているため、このままマウスのモデルにて検討を継続とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、海外学会も含め学会出張への旅費の計上が少なかったため、旅費の支出が試算より少なかった。次年度に研究成果の発表のため海外の学会にも参加予定である。 また、ポストコンディショニングのモデル作成に少し時間を要したため、機序解明に使用する試薬を次年度に購入予定としている。 当初の計画通り、主に実験動物、組織標本作成、実験試薬、動物に投与する薬品に使用予定である。また、研究成果発表、情報収集のための学会参加も予定している。 次年度に研究成果を論文にまとめ投稿予定である。
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