2012 Fiscal Year Research-status Report
自発的運動による長寿遺伝子の活性化は2型糖尿病誘発性心不全を改善するのか
Project/Area Number |
24590290
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
坂田 進 畿央大学, 健康科学部, 教授 (20142383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西井 康恵 畿央大学, 健康科学部, 助手 (50461207)
中谷 昭 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (70116284)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 2型糖尿病 / 自発的運動 / OLETF / 長寿遺伝子 / 心機能 / アディポサイトカイン / インスリン / 運動パフォーマンス |
Research Abstract |
2型糖尿病を自然発症するモデルラットOLETFを5週齢から1年以上に亘り回転カゴ付き飼育ケージにて飼育した(回転OLETF)ところ、現在、次の結果を得ている。回転OLETFの週当たりの自発的運動量は5~40 kmで個体差が大きく、総自発的運動量も広範囲であった。総自発的運動量が多いほど体重は小さかった。5ヶ月齢と8ヶ月齢では回転OLETFの摂餌・水量は、標準ケージで飼育したOLETF(標準OLETF)とLETO(標準LETO)に比して多かった。一方、糖尿病を発症した11ヶ月齢の標準OLETFの摂餌・水量は増加した。標準OLETFの血糖値は33週齢から増加したが、回転OLETFと標準LETOの血糖値は一定で増加しなかった。回転OLETFと標準LETOのOGTTでは、糖負荷後2時間で血糖値は100 mg/dl近くに減少した。一方、標準OLETFでは、糖負荷後2時間の血糖値は平均328 mg/dlであった。標準OLETFのHbA1c値は、平均9.4 %で、回転OLETF(6.1 %)と標準LETO(5.7 %)の値より高かった。これらの結果は、OLETFにおいて、毎日の自発的運動は、運動量の多少に関わらず、2型糖尿病の発症を完全に抑制することを示唆する。3群の運動パフォーマンスを比較すると、自発的運動量、持久的運動能、筋持久力、四肢握力のいずれにおいても、標準LETOが最も高く、次に回転OLETFで、糖尿病を発症した標準OLETFが最も低かった。この結果から、糖尿病は運動パフォーマンスの低下を伴い、また、糖尿病を発症していない回転OLETFは健常レベルの運動パフォーマンスを維持していないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
既に、次年度で計画予定の下記の測定を終え、データを解析中である。 1)糖負荷試験、2)インスリン負荷試験、3)心機能解析(圧カテーテルによる左室圧波形解析と超音波画像解析)、4)運動パフォーマンス
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに、引き続き次年度に予定している測定と解析を行う。上記の「現在までの達成度」で記載した測定に加えて、「血液成分の測定」、「心臓の組織学的解析」、「内臓脂肪量と脂肪サイズの測定」、「アディポサイトカインなどのELISA」、「骨格筋中の酵素活性とGLUT4の測定」、「DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析」などを行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画では、設備備品として「ラット用P-V計測システム」を購入する予定であったが、研究が予想以上に進展したため、「ラット用圧計測システム」を導入し、心機能解析を行った。そこで、次年度では心筋におけるSERCA2aやPLBなどのWestern blotを行うため、「ラット用P-V計測システム」に替えて、金額的に等価の「化学発光ゲル撮影装置」を購入する予定である。翌年度以降における消耗品については、当初の研究計画の通りである。
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