2013 Fiscal Year Research-status Report
サルコペニアの総合研究ラットからヒトへ:生体・運動単位から細胞・分子・核酸まで
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24590303
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
玉木 哲朗 東海大学, 医学部, 准教授 (10217177)
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Keywords | sarcopenia / fall / demyelination / axon loss / synaptic depression / neuromuscular junction / motor neuron pool / stretch-reflex |
Research Abstract |
本研究計画は以下の通りである。 本計画の基本方針: 本計画は一定の基準(後述)を満たしたラットサルコペニア発症動物の解析を中心に、若年期、青年期、中年期の動物との比較を行い。サルコペニアの発生・予防機序の解明を行う。3年間で以下の計画を遂行する。 ① in vivo麻酔下電気刺激における筋収縮機能解析から、緊張力低下、疲労耐性、脊髄運動神経機能応答、筋小胞体機能応答を解析する。 ② ラジオアイソトープを用いたアミノ酸・サイミジン(細胞増殖能)代謝応答を解析する。 ③ 代償性肥大モデルを利用して筋内幹細胞の増殖・分化能を解析する。 ④ 代償性肥大モデルを利用して筋肥大・萎縮関連遺伝子発現を解析する。 ⑤ 代償性肥大モデルを利用して筋萎縮に対する分子・蛋白レベルの変化を解析する。 ⑥ さらに、ヒト骨格筋より実際に細胞群を抽出・培養し、上記3~5の増殖・分化能、筋肥大・萎縮関連遺伝子発現、筋萎縮に対する分子・蛋白レベルの変化)を解析、比較検討する。 平成成24年度はこれらの計画のうち、計画②を完了し、計画①の半分を完了した。平成25年度は、計画①について実験例数を大幅に増加させ、より詳細なデータを得ることで完了した。 結論として、実際にサルコペニアの症状が出る以前に、筋機能の低下は始まっていることから、筋萎縮が始まる以前の中年期における予防策の重要性が示された。特に「脊髄運動神経機能応答」、「筋収縮速度」、「筋小胞体機能応答を解析」で興味深いデータを得ることが出来た。これらの結果を論文としてまとめ、4月中に投稿予定である。さらに、計画⑥ヒト細胞に関する実験もほぼ完了し、現在データ整理の段階に入っている。残る計画③~⑤に関しても、すでに実験が進んでいる状態で、次年度(最終年度)早々に終了できる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画でも示したように、本プロジェクトでは、老齢動物(2年齢以上)を使用するため、順次適年齢に達し、かつカテゴリーを満たした時点で解析を進めるため、同一の研究体制を2年以上にわたって継続する必要があった。しかし、助成開始前より前もって老齢動物(ラット)の準備を進め、計画の一部を進行させていたこと、及びヒトサンプルの取得もあらかじめスタートさせていたこと等の条件を含め、非常に順調な進行状況であり、次年度早期に全ての計画を終了させることが可能であると考えている。従って、現状、達成度は約90%である。
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Strategy for Future Research Activity |
従って、最終年度である26年度は、得られたデータをまとめ上げ、論文として発表すことに時間を割く予定である。以降も基本的に同一の解析(実験1~6)を平行して進めて行く予定である。特に、初年度で手薄となっている課題について例数を増やすことを心がけたい。複数の課題を持って進行しているため、2~3の課題を組み合わせた形で複数の論文としてまとめることが出来るのではないかと考えている。 本年度に約46万円の繰り越しを行うこととなった。この分は残るデータ解析と論文発表に関する経費に充当する予定である。まずは、研究期間内のacceptを目指して最終年度の計画を進めたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験及びデータ解析の期間を集中して行うことができたことによる、研究実施の効率化が可能であったことから、諸経費の重複が避けられ、結果として節約につながった。 実験・データ解析で節約された分は、論文発表に伴う追加実験、や諸経費に使用する予定である。
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