2014 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣交感神経支配に対するエストロゲンの可塑的影響の解析
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24590308
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
内田 さえ 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (90270660)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 卵巣 / 交感神経 / エストロゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者はこれまでに,卵巣交感神経が卵巣の血流とエストロゲン分泌を抑制する事実をラットで明らかにしてきた.本研究は卵巣交感神経支配に対するエストロゲンの可塑的影響を解析することを目的とする. 過去2年の本研究において,交感神経が興奮すると卵巣血流が抑制される反応が,エストロゲン(17βエストラジオール)を慢性投与すると減弱することを見出した.更に,このエストロゲンの可塑的影響は,エストロゲン投与期間を2週間よりも4週間に長くすると増大することを示した.これらの結果を受けて,平成26年度は卵巣静脈血を直接採取することにより,卵巣血流の絶対量およびエストロゲン分泌量に対するエストロゲン慢性作用を検討した.先行研究で報告された妊娠後期の血中濃度に相当するエストロゲン投与量を雌ラットに4週間持続皮下投与した.エストロゲン投与群では,4-5日の性周期が消失するとともに,卵巣からのエストロゲン分泌の周期的変動が消失した.これはエストロゲン投与が視床下部を抑制したためと考えられた.安静時の卵巣血流量は対照群とエストロゲン投与群で差は認められなかった.卵巣血流量の交感神経高頻度刺激(20Hz)に対する減少はエストロゲン投与の影響を受けないが,低頻度刺激(2Hz)よる減少はエストロゲン投与で減弱した.安静時における交感神経の活動頻度が一般に1-3Hzであることから,エストロゲン慢性投与は,安静時において交感神経の血流低下作用を減弱していると考えられる.一方,ストレス等で交感神経が著しく高まる際の血流低下作用は維持されていると考えられる.
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Research Products
(10 results)