2014 Fiscal Year Annual Research Report
脊柱靱帯骨化症の病因として間葉系幹細胞が果たす役割の解明
Project/Area Number |
24590310
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
古川 賢一 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20165468)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 吉輝 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (00111302)
小野 睦 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (40400155) [Withdrawn]
和田 簡一郎 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (20431447)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 脊柱靭帯 / 異所性骨化 / 間葉系幹細胞 / エピジェネティクス / 骨分化能 / 薬物治療 / 形質転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究プロジェクト全体の目標は、難治疾患である“脊柱靱帯骨化症”の病因解明とその薬物治療法確立である。我々はこれまでの10年にわたる研究成果を踏まえて、『ヒト脊柱靭帯組織に間葉系幹細胞が存在し、それらが様々な環境因子・局所因子に晒されることで骨芽細胞様細胞へ間違った分化を起こし、その結果靱帯組織が骨化・石灰化する』 と言う仮説を立てた。そして本基盤研究では、この仮説を検証することを目標にした。 3年の研究期間において、初年度は、まずヒト脊柱靭帯組織に間葉系幹細胞が存在することを証明するため、その単離を試み、成功した(Asari et al. BBRC 2012)。 次年度は、間葉系幹細胞が骨化にどのように関与するかを明らかにするため、その靭帯組織内での局在と、骨化に伴う局在変化を検討した。その結果、正常時には血管周囲にのみ存在した間葉系幹細胞が、骨化の過程で靭帯実質部全体に分布し、特に骨化移行部に集中して存在することが明らかになった。これは異所性骨化の過程に間葉系幹細胞が重要な役割を果たしていることを示す(Chin et al. BBRC 2013)。 そして最終年度は、患者由来の間葉系幹細胞と正常のものとの多分化能を比較した。その結果、患者由来の細胞は、正常のものに比して、骨分化能が極めて高いことが明らかとなった(Harada et al. BBRC 2014)。 以上3つの結果は、いずれも我々の上記の仮説を支持するものであり、骨化の機序に形質転換した間葉系幹細胞が重要な役割を果たしていることが明らかになった。今後はなぜ患者の間葉系幹細胞が高い骨分化能を有するものに形質転換しているのか、その機序を明らかにすることを計画している。それが解明されれば、異所性骨化を抑制する薬物治療の標的が定められるものと期待される。
|
Research Products
(3 results)