2012 Fiscal Year Research-status Report
脳内炎症誘発性の認知情動変化に対するプロスグランジンの関与
Project/Area Number |
24590314
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
水野 誠 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 神経制御学部, 主任研究員 (20345515)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 発達障害 |
Research Abstract |
プロスタグランジンは痛みや炎症など多くのストレスシグナルに関与する重要な因子である。アルツハイマー病などの神経変性疾患のみならず、認知機能障害でも脳内炎症プロセスがその認知行動異常に関与することが示唆されている。そこで、発達段階において脳内で誘導されたプロスタグランジンが認知や情動にどのように影響を与えているのかの検討を行っている。 【方法】プロスタグランジンを誘発するためにリポポリ多糖(LPS)を使用した。LPS(100μg/kg)を妊娠マウス(妊娠14、15日)へ投与し、その仔マウスが誕生後に成熟になるまで飼育し、実験に使用した。 【結果】最初に、シクロオキシゲナーゼ(COX)2の発現をウエスタンブロット法で行ったところ、LPS投与後の子宮内胎仔で発現の増加が認められた。成熟後(8週齢)では、対象群に比べ増加傾向であったが発現量の違いは有為ではなかった。続いて、行動実験(自発運動量、プレパルスインヒビション、社会性行動、認知行動)を行った。LPS投与群では運動量が亢進していた。加えて、プレパルスインヒビションの異常が見られた。社会性行動試験では、LPS投与群で新規動物に対する応答時間と回数が減少していた。以上のように、LPSを投与した母体では、その仔にCOX2の発現増加が見られ、プロスタグランジンの誘導が起きている。その結果として成熟後に行動変化が生じると考察された。今後は、成熟後に見られる行動変化を誘導するメカニズムについて検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
母体マウスへLPS投与を行い、その仔マウスを用いて行動解析(自発運動量、社会性行動試験および学習試験)を行った。研究目的は概ね達成しているが、仔マウスへのプロスタグランジン受容体アンタゴニスト投与実験は現在匹数を追加して進行しており、この結果は近日中に得ることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、実験動物にプロスタグランジン受容体アンタゴニスト投与し、その後の脳各部位におけるモノアミン受容体やドパミン神経関連タンパク質(DARP32等)の測定を行う。つまり、プロスタグランジン受容体アンタゴニスト投与によってドパミン受容体を介した細胞内シグナルはどう影響するのかを解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、期間の途中で異動した。そのため、異動先の研究室では実験用の消耗品が十分であり、本研究費を予定通り使用する必要がなかった。次年度では、研究費は実験用の動物の維持費用、消耗品に使用するとともに、新規の実験装置の購入に当てる予定である。
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Research Products
(1 results)