2014 Fiscal Year Annual Research Report
Gタンパク質共役型受容体の新規調節因子CRELD1の生体内機能の解明
Project/Area Number |
24590316
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
西宗 敦史 福井大学, 医学部, 助教 (40311310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村松 郁延 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10111965)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | がん |
Outline of Annual Research Achievements |
CRELD1(Cystein-Rich Epidermal growth factor-Like Domain 1)欠損アレルは、マウスにおいてホモ接合により胎生致死となることが明らかとなった。in vitro実験でCRELD1を共発現すると受容体発現量の著明な減少を示すβアドレナリン受容体は、Creld1欠損アレルのヘテロ接合体と野生型ホモ接合個体との間に受容体量の有為な差は観察されず、すくなくともβ1及びβ2アドレナリン受容体については、CRELD1のhaploinsufficiencyによって受容体の生体内表現型が影響を受ける事はないであろうと結論された。 ヘテロ接合体個体を多数飼育している中に、腫瘍を自然発生する個体を見出した。多くは眼窩から突出し片眼を圧迫したのち上顎から眼窩にかけて高度な変形をおこした。罹患個体は、変形の兆候を観察してから数週間の後に全数死亡した。また両眼同時に発症した個体はこれまでのところ観察されていない。経過は上顎洞癌に類似していた。 現在までのところCRELD1遺伝子の生体機能として心発生に必須であることが報告されているが、腫瘍発生への関与は報告されていない。ヒトの臨床研究では、ヒトCRELD1遺伝子の存在する3p25座位は上顎洞癌の癌抑制遺伝子の候補座位の一つとして知られている。ところがCRELD1は既知の腫瘍抑制遺伝子と類似した構造を持たず、3p25領域の遺伝子群の中では腫瘍の発生に関与するとは想定されていない。 以上の研究成果から、研究開始時に想定していたG-タンパク質共役型受容体の候補制御因子としての性質については個体レベルでは顕著な表現型を見出せなかったが、上顎洞癌の腫瘍抑制遺伝子としての機能を見出す端緒となる結果が得られた事は研究の遅れている上顎癌の発生機序を理解する上で特筆すべき成果であると考えられた。
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Research Products
(1 results)