2012 Fiscal Year Research-status Report
脂肪細胞分化の新たな制御因子・PDZRN3の機能解析と糖尿病治療への応用
Project/Area Number |
24590323
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
本田 健 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30457311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乾 誠 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70223237)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脂肪細胞分化 / 前駆脂肪細胞 / PDZRN3 |
Research Abstract |
本研究では、PDZRN3が脂肪細胞分化を制御する分子機構を解明することを大きな目標とする。平成24年度では、PDZRN3結合蛋白質を探索しており、その候補として数種のPDZRN3共沈蛋白質の同定に成功している。現在、それらのPDZRN3結合蛋白質であるかの検証を行っている。また、その候補蛋白質が実際にPDZRN3と共同して脂肪分化制御に関与するかを検証するための情報を得るために、脂肪分化で働くシグナル制御システムに対してPDZRN3がどのような影響を持つのか、もしくはPDZRN3により影響を受けるシグナル経路などについて探索、解析を行った。 脂肪分化において、PPARγはマスターレギュレーターとして働く転写因子であり、さらにPPARγ発現の促進を上流にて制御する因子として、STAT5AやSTAT5B及びC/EBPβが報告されている。当該年度における解析から、PDZRN3がSTAT5Bもしくはその上流に作用することでSTAT5Bの転写レベルを抑制し、STAT5Bによる転写機能レベルを減弱させ、その結果として、PPARγの発現量が低下し、脂肪細胞分化は抑制されることが明らかとなった。即ち、PDZRN3は脂肪細胞分化を負に制御する因子であることが示唆された。ここで興味深い知見は、STAT5AおよびSTAT5Bは極めて類似したサブタイプであるにも関わらず、PDZRN3はSTAT5Bにのみ作用するという点である。脂肪分化におけるSTAT5AとSTAT5Bの機能分担についてはこれまでほとんど報告がなく、今回の結果から、脂肪細胞分化においてPDZRN3を介したユニークな分化制御機構の存在が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、PDZRN3結合蛋白質候補として数種のPDZRN3共沈蛋白質の同定に成功しているが、実際にPDZRN3結合蛋白質であるかの確証が現時点で得られていない。また、非特異的な結合によって検出される蛋白質がかなり多く(検出時のノイズが大きく)、真の結合蛋白質であるかどうかの判断、および抽出効率を困難にしている。その理由として、抗体の質(抗原PDZRN3に対する結合親和性と特異性)に問題があり、これまで自作、業者委託含めてPDZRN3の5種類の領域に対して新たに抗体を作製したが、これまで良好な抗体は得られておらず、対策が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで検出したPDZRN3結合蛋白質候補が、実際にPDZRN3の基質であるか、また脂肪分化に関与するかといった検証を行う。PDZRN3はマルチドメインを有することから、現在挙がっている候補蛋白質以外にも目的の蛋白質が存在する可能性もあるため、25年度も引き続き探索を試みる。そのためには、前項にも述べたようにより良好なPDZRN3の抗体を作製する。免疫沈降時にPDZRN3結合蛋白質と抗体が競合阻害しないように、結合に関わるPDZドメインやPDZ結合モチーフ以外の領域を標的とする抗体を改めて作製する。また、免疫沈降法では結合力の弱い相手蛋白質の抽出が難しい場合があるため、蛋白質間化学架橋法を組み合わせて、より確実にPDZRN3結合蛋白質を抽出する手法を開発する。さらに、抗体マイクロアレイにより、PDZRN3の相互作用相手を網羅的に探索する手法も取り入れる。相手が同定できれば、PDZRN3によりユビキチン化されるかなど生理的基質であることをin vitro系で検証していく。さらに、PDZRN3機能のin vivoでの確証を得るため、PDZRN3KOが糖尿病態に与える影響を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費777円に関しては、平成24年度に抗体作製費用として使用予定であったが、実験の進捗状況により繰り越しとし、平成25年度の抗体作製の費用に充当して使用する。
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Research Products
(2 results)