2012 Fiscal Year Research-status Report
ジヒドロビオプテリンによる内皮機能障害機序の解明と病態生理学的意義の評価
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24590324
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
野口 克彦 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70156181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 正人 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70309962)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ジヒドロビオプテリン / テトラヒドロビオプテリン / 血管内皮機能 / 一酸化窒素合成酵素 |
Research Abstract |
細胞内BH2増加の長期的な影響を調べる実験を始める前に、以下の検討を行った。 1)マウス生体組織中BH4・BH2含量の測定方法の検討を行った。 その結果、従来方法では評価できなかったBH2含量をコントロールの100倍までの増加も測定できるようになった。 2)マウス生体組織中のBH2含量を持続的、かつ有意に増加させる実験条件の検討を行った。 メトトレキサートとsepiapterinの投与方法と投与量を変えて、組織中のBH4含量を変えずにBH2含量のみを著明に増加させる条件の決定に至っていない。 3)動脈硬化モデルとして、血管リモデリングを引き起こすことができるマウス頸動脈部分狭窄モデル(Korshunov et al, ATVB,2003; Nam et al., AJP-HCP, 2009)作成のための予備的検討を行った結果、手術後2週間で狭窄部末梢の頸動脈に軽度の内膜肥厚を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度では、マウスの大動脈・肺・心臓・肝臓中のBH4・BH2含量を再現性良く定量する高速液体クロマトグラフを使用した新たな測定法の開発を行った。また、生体組織中のBH2含量の長期的な増加を引き起こす実験条件の探索を行ってきた。とくに、BH2の前駆物質であるsepiapterinが化学的に不安定なため、種々の投与方法(飲料水・腹腔内投与・浸透圧ミニポンプの皮下留置)や用量で投与条件の検討してきたため、予想より時間を要した。また、メトトレキサートを使用する代わりに、遺伝子改変マウスを使用することの可能性について検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、当該年度で行ってきた長期的なBH2含量の増加を引き起こす実験条件条件を決定し、以前明らかにした急性効果の結果と比較する。 当該年度での予備的検討から、細胞内でBH2からBH4への変換を触媒するdihydrofolate reductase(DHFR)の阻害薬メトトレキサートを高用量使用した場合の毒性による影響が懸念されたため、次年度ではDHFRの血管内皮細胞特異的ノックアウトマウスを作成する。このため、当該年度の研究費は、翌年度以降に請求する研究費と合わせて実験に使用する予定である。 今後の研究では、このノックアウトマウスのキメラマウスからの作成と血管内皮細胞特異的発現の消失を確認し、表現型の探索を主に行う予定である。このノックアウトマウスを用いた検討により、血管内皮細胞のDHFRの新たな生理学的役割が明らかになるかもしれない。さらに、高血圧や糖尿病などの酸化ストレスが関与する疾患ではBH2含量増加を伴うとされており、これら疾患におけるBH4への変換を担うDHFRの病態生理学的意義が解明されることが期待される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度ではDHFRの血管内皮細胞特異的ノックアウトマウスを作成する。このため、当該年度の研究費は、翌年度以降に請求する研究費と合わせて、遺伝子改変マウス作成費と実験用消耗品・旅費などに使用する予定である。
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Research Products
(3 results)