2012 Fiscal Year Research-status Report
芍薬甘草湯が抗癌薬パクリタキセルの副作用を緩和するメカニズムの研究
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24590325
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
木村 純子 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (10186322)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 英国オックスフォード大学 |
Research Abstract |
H9c2細胞を用いて、その遅延整流性K電流(IKur)に対する芍薬甘草湯の作用を、ホールセルクランプ法で調べた。芍薬甘草湯はIKurを濃度依存的に抑制した。IC50値は1.3mg/mlでHill係数は1.2であった。芍薬と甘草をそれぞれ単独で、10mg/mlの濃度で調べたところ、甘草>芍薬甘草湯>芍薬の順に抑制作用が強いことがわかった。甘草の主成文の1つであるグリチルリチンは抑制作用を示さなかった。IKurの遺伝子はKv2.1と報告されている。Kv2.1はラットの骨格筋にも存在することが、RT-PCR法で確認できた。芍薬甘草湯はこむらがえりに即効する。こむらがえりは、骨格筋の膜外側局所のK濃度が高くなることが原因の1つと考えられる。芍薬甘草湯がこむらがえりを抑える機序として、IKur抑制により筋繊維からのKイオン流出が減少し、その間にNa-K ATPaseによるKイオンの筋繊維内への流入が起こることで、筋繊維局所の膜内外のKイオン濃度のバランスが正常化することが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した培養細胞を用いた系では、臨床濃度の範囲で芍薬甘草湯の作用を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
芍薬甘草湯はこむら返りを起こしている骨格筋は弛緩させるが、起こしていない正常な筋の収縮抑制はしない。このことから、こむらがえりを起こしている筋には、正常な筋とは別の分子変化が起こっている可能性が高い。そこで、骨格筋がこむらがえりを起こすことによって筋繊維内の分子がどう変化するかを、in vitroのモデル細胞を用いて再現させ、それに対する芍薬甘草湯の作用を調べる。 パクリタキセルは、H9c2細胞のK電流を時間依存的に抑制する。そこで、このパクリタキセルの作用を芍薬甘草湯が抑制するかを調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
骨格筋繊維内分子のmRNAや蛋白質の発現量の変化を調べるために、RT-PCR法やウエスタンブロット法のための、塩基プライマーや抗体などの試薬を購入する。また、ホールセルクランプ法関連の消耗品を購入する。
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