2014 Fiscal Year Research-status Report
芍薬甘草湯が抗癌薬パクリタキセルの副作用を緩和するメカニズムの研究
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24590325
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
木村 純子 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (10186322)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 芍薬甘草湯 / T型カルシウムチャネル / Cav3.2 / HEK293細胞 / ホールセルクランプ / 濃度反応曲線 |
Outline of Annual Research Achievements |
芍薬甘草湯は、こむらがえりの特効薬として古くから用いられてきた漢方薬である。Hidakaらは、「芍薬甘草湯がパクリタキセルによるマウスの末梢神経痛を軽減させる」(European J Pain 13,22-27,2009) を報告した。また、Okuboらは、神経因性疼痛にT型カルシウムチャネル Cav3.2)が関与することを示した(Br J Pharmacol 166,1738-43,2012)。すなわち彼らは、マウスの足底にNaHSを注入して知覚過敏と異痛を引き起こした後、T型カルシウムチャネル(Cav3.2)阻害薬、またはTRPA1チャネル阻害薬を投与すると、知覚過敏や異痛が抑制されると報告した。そこで、芍薬甘草湯の神経因性疼痛を抑制する機序に、T型カルシウムチャネル(Cav3.2)の抑制が関与するかを調べた。そのために、T型カルシウムチャネル(Cav3.2)を発現したHEK293細胞を入手した。その細胞を用いて、ホールセルクランプ法でT型カルシウムチャネル電流を測定しながら、芍薬甘草湯をタイロード液に溶かしたものを、細胞外液として還流した。細胞内液はセシウムアスパラギン酸を主成文とした。芍薬甘草湯10mg/mlは、T型カルシウム電流を完全に抑制した。芍薬甘草湯の濃度を1mg/ml, 3mg/ml, 10mg/mlとして、抑制の程度を調べたところ、芍薬甘草湯は、T型カルシウム電流を濃度依存性に抑制することがわかった。芍薬甘草湯のIC50値は1.3mg/ml で、ヒル係数は1.1であった。このことから、芍薬甘草湯の神経因性疼痛を抑制する機序に、T型カルシウムチャネル(Cav3.2)の抑制が関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
芍薬甘草湯が、神経因性疼痛の原因となるCav3.2を抑制することが明らかになったから。
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Strategy for Future Research Activity |
芍薬甘草湯のどの成文が主に、Cav3.2の抑制に関与しているかを調べる。 また、神経痛を抑制するとされる他の漢方薬、たとえば牛車腎気丸なども、Cav3.2抑制作用があるか調べる。
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Causes of Carryover |
平成27年3月分の支出がまだ入っていない。 また、研究結果を論文にまとめるために、1年間の実施機関の延長を申請し受理された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文作成費などに使用する予定である。
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Research Products
(2 results)