2012 Fiscal Year Research-status Report
IRBITによるアストロサイト内のpH-カルシウムシグナル連動調節機構解明
Project/Area Number |
24590332
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
水谷 顕洋 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (30242861)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | IRBIT / グリア細胞 / 細胞内pH / 細胞内Ca2+シグナル |
Research Abstract |
IRBIT蛋白質は、その標的結合分子である、IP3受容体(IP3R)、及び、Na+/HCO3- 共輸送体(NBCe1)、それぞれの活性をリン酸化依存的に調節することで、グリア細胞内のCa2+シグナルと細胞内pHとの調節に寄与している。また、IRBITのN末領域には多重リン酸化領域があることにより、IRBITは多彩なリン酸化パターンをとり、これによって、標的分子への相互作用特異性を生み出していると考えられる。本研究では、このIRBIT蛋白質のリン酸化が細胞内pH変動に呼応して変化し、それがIP3Rの活性抑制作用に影響を及ぼすこと,つまりは、細胞内pH環境に応じた細胞内Ca2+シグナルの動態が細胞内pH環境依存的なIRBITのリン酸化を介して調節されいてることを明らかにし、この調節機構のグリア細胞における機能を明らかにしようとするものである。 本年度は,グリア細胞内における細胞内pH変化に応じて,実際、IRBITのリン酸化状態が変化するのかどうかを明らかにすべく、研究計画に示したようなイオノフォアと培養細胞を用いた実験でなく、より生体内でIRBITの細胞内pH環境変化に呼応したリン酸化状態変化を観察すべく、NBCe1ノックアウトマウスの中枢神経系におけるIRBITのリン酸化状態を解析した。NBCe1ノックアウト、及び、WTマウスの大脳・小脳から、粗抽出液を調製し、Phos-Tag PAGEによってIRBITのリン酸化状態を解析したところ、NBCe1ノックアウトマウスでは,IRBITのリン酸化状態が亢進し,hyper リン酸化パターンを示すIRBIT が著増していた。また、このhyperリン酸化にAキナーゼが関与することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、蛍光pH指示薬を用いて細胞内pHイメージングにて、種々のイオノフォア処理した際の細胞内pH動態を解析しようとしていたが,このイメージングシステムのセットアップに時間がかかったため、この実験計画が遂行されていない。これが、遅れている原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で記述したが,細胞内pHの変動に伴ってIRBITのリン酸化状態が大きく変化した。即ち、NBCe1ノックアウトマウスでは,IRBITのリン酸化が亢進し,IP3Rに対して高親和性を示すhyperリン酸化状態のIRBITが主要リン酸化フォームとなっていいたこと、このリン酸化状態に関与するリン酸化酵素を同定出来たこと、等から、本研究の方向性は間違っていないと考える。また、時間を費やした細胞内pHイメージングシステムの確立は、本年度末にようやく成し遂げられようとしている。 今後は、当初の研究計画に従って,hyperリン酸化状態になっているIRBITのリン酸化部位を決定し,このリン酸を特異的に認識する抗体の作成、それに、初代培養グリア細胞システムでの細胞内pHと細胞内Ca2+の同時イメージングシステムを立ち上げ,研究を推進して行く予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上述したように、平成24年度に計画していた細胞内pHイメージングによる実験があまり進まず、それにあてていた細胞培養用試薬・蛍光pH分子プローブの購入による支出が当初計画より下回り,残額が発生した。次年度は、その残額と25年度研究費当初の合算で、平成24年度購入する予定であった、細胞培養用試薬、蛍光pH分子プロープをはじめ、抗体作成用に必要なペプチド合成費用、消耗品(試薬、実験器具)、マウス維持費、機器保守費、等に支出する予定である。
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Research Products
(2 results)