2013 Fiscal Year Research-status Report
肺静脈心筋における細胞内カルシウムイオン誘発性自動能の発生機序解明
Project/Area Number |
24590334
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
田中 光 東邦大学, 薬学部, 教授 (40236617)
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Keywords | 肺静脈心筋 / 活動電位 / 細胞内カルシウム / 筋小胞体 / 心房細動 |
Research Abstract |
近年、心房細動の原因の大半が肺静脈内に局在する心筋組織の異所性自動能であることが判明した。本研究では、肺静脈心筋のカルシウム誘発性自発活動が顕在化する機序を解明し、心房細動治療薬開発への基盤を構築することを目的とする。本年度はモルモット肺静脈心筋でカルシウム誘発性自発活動が顕在化する機序を確定させるとともに、ラットおよびマウス肺静脈心筋と比較することを目的とした。 モルモット肺静脈より心筋細胞を単離し、ボルテージクランプ法により再分極を担う内向き整流性カリウム電流を測定した。肺静脈心筋細胞の内向き整流性カリウム電流は、心房筋細胞のものと同じ電流電圧関係を示したが、その電流密度は心房筋の半分程度であった。肺静脈心筋細胞では活動電位を反映するカルシウムトランジェントの発生が多く観察されたが、内向き整流性カリウム電流を増大させるカルバコール投与により消失した。これらの結果から、肺静脈心筋では、内向き整流性カリウム電流の密度が小さいことが細胞内カルシウム依存性自発活動を許容していることが判明した。 マウスおよびラットからも摘出肺静脈組織標本を作製し、ガラス微小電極法により電気活動を記録した。マウスにおいては、モルモット同様の連続的な自発活動に加え、連続発火と休止を繰り返す間欠的な自発活動が観察された。ラットにおいては、無処置の状態では自発活動は見られなかったが、ノルアドレナリン刺激下では間欠的な自発活動が観測された。これらの結果から、肺静脈心筋の電気的自発活動は実験用小動物であるモルモット、ラット、マウスに共通の減少であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モルモット肺静脈心筋活動電位測定、膜電流測定、薬理学的性質の全ての観点から検討し、肺静脈心筋では、内向き整流性カリウム電流の密度が小さいことが細胞内カルシウム依存性自発活動を許容しているという理解を確定させることが出来た。さらに、外科的処置に適したラット、遺伝子改変動物が入手可能であるマウスに関しても肺静脈の電気活動を観測する事に成功し、各種病態モデル動物を用いた検討が可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
モルモット肺静脈心筋の電気的自発活動に対する各種抗不整脈薬の効果を検討し、治療効果との関連を考察する。ラットに関しては動静脈瘻により心房に伸展刺激を加えたモデル動物、マウスに関しては交感神経系下流の情報伝達に関与するEPAKをノックアウトしたモデル動物、を各々作製し、肺静脈心筋の自発活動を観測する。これらの検討により、肺静脈心筋自動能と病態との関連が明らかになるとともに、薬物による治療の有効性に関しても知見が得られる。
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Research Products
(18 results)