2013 Fiscal Year Research-status Report
小胞体ストレス応答におけるNrf2システムの活性化:役割とメカニズムの解明
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24590340
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 麻己人 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50254941)
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Keywords | 小胞体ストレス / Nrf2システム / ゼブラフィッシュ |
Research Abstract |
本研究は、小胞体ストレス応答におけるNrf2システムの生理的役割と、その活性化機構を明らかにすることを目的とする。Nrf2システムとは、酸化ストレス防御の中心を担うストレス応答型転写機構であり、研究代表者は、これまでにゼブラフィッシュを活用して研究を行い、Nrf2システムが、酸化ストレスだけでなく小胞体ストレスにも応答して発動することを、遺伝学的に発見した。 本年度は、Nrf2システムによる小胞体ストレスの感知機構解明に取り組んだ。ゼブラフィッシュPERK及びATF4分子を単離し、過剰発現解析及びノックダウン解析を行った。その結果、PERK依存的なATF4タンパク質の蓄積が、Nrf2システムの活性化につながると示唆できた。Nrf2システムの小胞体ストレス応答は、PERK経路を介することは知られていたが、その機構は、従来予想されていたPERKによるNrf2タンパクの直接リン酸化ではなく、ATF4蓄積を介した翻訳制御であるとのモデルを提出できた。 一方、小胞体ストレスを自然発症するit768系統とNrf2変異系統の二重変異系統の解析を生体で行うために、小胞体ストレスに応答してGFP発光するトランスジェニックゼブラフィッシュの系統化を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Nrf2システムによる小胞体ストレスの感知が、従来、予想されていた機構ではなく、翻訳制御を介したものである可能性を示唆できたことは重要な成果であり、その点では計画の達成は十分と考える。一方、小胞体ストレスに応答してGFP発光するトランスジェニックゼブラフィッシュの系統化は予想外に時間がかかり、その結果、計画にあった二重変異系統の解析は行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析から、ATF4蓄積は、Nrf2タンパク質の安定化につながると示唆された。この結果は、何らかのタンパク質分解機構が抑制されたことを推測させる。最近、Nrf2タンパク質は、Keap1-Cul3系を介した分解だけでなく、他の分解経路も複数存在することが報告された。ATF4とこれらの経路の関連性を解析し、ATF4によるNrf2制御のメカニズム解明に取り組む。一方、二重変異系統に関しては、GFP発光するトランスジェニックゼブラフィッシュを系統化でき次第、生体で解析を行い、小胞体ストレス応答におけるNrf2の生理的役割の解明を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
小胞体ストレスに応答してGFP発光するトランスジェニックゼブラフィッシュの系統化は予想外に時間がかかり、その結果、当初計画にあった二重変異系統の解析は行うことができず、研究計画が次年度にずれ込む結果となった。 試薬類・プラスチック器具類などの消耗品費に約56万円、成果発表旅費などの旅費に10万円、研究補助員への謝金20万円、研究成果発表投稿料などに20万円、の使用を計画している。
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Research Products
(6 results)