2013 Fiscal Year Research-status Report
FGFシグナルを軸とした細胞間相互作用による肝臓の再生と病態の制御機構の解明
Project/Area Number |
24590342
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 暢 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 講師 (50396917)
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Keywords | 再生医学 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / 肝臓 / 組織幹細胞 |
Research Abstract |
重篤な障害を受けた肝臓では、未分化な肝前駆細胞(オーバル細胞)が活性化して再生に寄与すると考えられている。本研究課題では、種々のマウス肝障害モデルを用いて、肝前駆細胞の誘導・増殖・分化を制御する分子機構を解明すること[課題1]、および、肝前駆細胞と肝線維化や肝がん等の病態との関連の実態や機序を明らかにすること[課題2]、を目的としている。 平成25年度は、[課題1]については、肝前駆細胞の誘導に関わると想定される新規因子として前年度に同定した炎症性サイトカイン分子についての詳細な解析を行った。この分子をコードする遺伝子の欠損マウスでは、障害時における肝前駆細胞の誘導および肝線維化の発症に、共に影響があることが明らかとなった。肝前駆細胞反応と線維化との相互連関の基盤を成すシグナルの候補と考えら、その作用機序についての解析を進めた。一方で、肝前駆細胞の誘導に関わる重要な転写因子を新たに同定した。この転写因子は肝前駆細胞自身に発現していること、その遺伝子欠損マウスでは肝前駆細胞の誘導に顕著な影響があり、肝障害の増悪化と個体の致死がもたらされることが明らかとなった。さらに、この転写因子によって発現制御される何らかのシグナル分子が、肝前駆細胞と炎症性細胞(血液細胞)との相互作用を介して肝前駆細胞反応の維持に重要である可能性を見出した。 同じく、[課題2]については、マウス肝臓でのFGF7の持続的強制発現系(Tgマウス)による肝がん誘導モデルの作製と解析に取り組んだ。当該マウス系統の繁殖状態の影響により、当初の想定よりもモデル作製に時間を要したが、翌年度に解析を行うためのモデルマウスの準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
[課題1]では、新規分子の同定と機能解析を通じて、肝前駆細胞の制御に関わる新たなシグナルネットワークの存在を見出すことが出来た。今後さらに解析を進めることで、FGF7を中心とした制御ネットワークの全貌解明、病態との関連の理解につながると期待できる。 [課題2]については、Tgマウス系統の繁殖状態の影響で当初の想定よりもモデル作製に時間を要したが、翌年度に解析を行うための準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究実施計画に加えて、平成24年度に同定した炎症性サイトカイン分子、平成25年度に新たに同定した転写因子、およびその標的遺伝子についての機能解析にも特に重点を置き、推進する。
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Research Products
(4 results)