2013 Fiscal Year Research-status Report
慢性期の低酸素応答を規定する転写因子の作用機序の解明
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24590343
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中山 恒 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (10451923)
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Keywords | 低酸素応答 / 転写因子 / がん転移 |
Research Abstract |
1 慢性低酸素に働く転写因子CREB, NFkBの作用機序 低酸素培養24時間以降で活性が上昇するCREB, NFkBの活性制御機構について解析を進めた。HeLa細胞やMB231細胞を用いた解析から、NFkBはその負の制御因子であるIkBの分解を介したcannonical pathwayにより、CREBはリン酸化されることにより、それぞれの活性が正に制御されていることが明らかになった。さらに、これらの分子の活性化に、急性期で働くHIFの活性が必要であるかを、HIFノックダウン細胞を用いて検討したところ、NFkB経路は正常に活性化されたが、CREB経路はその活性が顕著に抑制されることが明らかになった。 2 CREB, NFkBのがん転移における役割 CREB, NFkBのがん浸潤・転移における役割を、in vitro実験およびマウスへの移植実験を用いて検証した。乳がん細胞株MDA-MB-231のCREB、NF-kB、MMP1をそれぞれノックダウンしたstable lineを樹立した。これらの株を用いて、コラーゲンゲル上での細胞移動能をスクラッチアッセイを用いて検証したところ、CREB、NFkBノックダウン細胞は野生型の半分程度までその移動能が低下していた。この低下はMMP1ノックダウン細胞と同程度であった。さらに、これらの細胞株をヌードマウスに移植したところ、コントロール細胞と比べて顕著にがん転移能が抑制された。 3 RNA-seq解析による新規慢性期因子の同定 MDA-MB-231細胞の慢性期低酸素(48時間以降)で発現が増大してくる遺伝子の網羅的な同定を、次世代シークエンサーを用いたRNA-seq解析により試みた。Gene ontology解析より、膜受容体を介したシグナル経路に関与する遺伝子が主に増加することが判明した。また、発現量が顕著に増加する機能未知の遺伝子のクローニングを実施して、その機能解析を細胞内の転写制御に着目して進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
慢性期低酸素で働く転写因子(核内因子)であるNFkB/CREBの慢性期低酸素応答における役割の解析を進め、その活性化に働く分子機序の一端を明らかにすることができた。さらに、前年度より継続していたノックダウン細胞株を用いた細胞移動・浸潤能の解析、および、マウスモデルを用いた機能解析を完了して、成果を論文発表した。また、新しく慢性期低酸素培養細胞のRNA-seq解析を実施して、gene ontology解析ならびに未知の遺伝子のクローニングまでを進めることができた。これらを達成したことで、今年度計画していた、慢性期低酸素で働く転写因子の作用機序の解析、ならびに、低酸素応答性因子の同定までを順調に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、NFkB/CREBが活性する分子機構の詳細を詰める。また、活性化される分子機序が異なる二つの分子が、プロモーター上で協調して働く機構についても明らかにしたい。さらに、新たに同定した新規遺伝子の分子レベルでの解析、および、マウスモデルを用いた機能解析を実施したい。これらの低酸素慢性期に働く因子が、NFkB/CREBにも協調的に作用する可能性についても検討する。以上の研究を実施して、研究を総括する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた次世代シークエンス解析の外部機関への委託を、新規に導入された学内施設を利用して自身で行ったために、当該経費を大幅に節約することができた。 1 遺伝子発現解析実験に必要な酵素類、プラスチックチューブ、PCR用試薬の購入費用として使用する。2 細胞培養実験に必要な培地、血清、プラスチックシャーレの購入費用として使用する。3 動物実験のための、マウス購入、および、マウスを維持するための施設使用料として使用する。4 研究成果を国内、国際学会で発表するための旅費として使用する。5 研究成果を論文発表するための経費として使用する。
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Research Products
(3 results)