2014 Fiscal Year Annual Research Report
慢性期の低酸素応答を規定する転写因子の作用機序の解明
Project/Area Number |
24590343
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中山 恒 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (10451923)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 低酸素応答 / 転写因子 / NF-kB / CREB / がん転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
私は低酸素応答の慢性期にHIFの活性が低下して、HIFとは異なる機構で遺伝子発現が制御されることをこれまでに見出してきた。そこで本研究では、慢性期の低酸素応答制御にはHIFを代替する転写因子が働くことを仮説として、その同定と慢性期における役割を解明することを目的として実施した。 1)慢性期低酸素に働く転写因子CREB, NF-kBのがん転移における役割 HeLa細胞を用いてDNAマイクロアレイ解析を行い、慢性期低酸素で発現が誘導される遺伝子としてMMP1を同定した。MMP1プロモーターの低酸素応答性領域には、CREB, NF-kBの結合配列が近接して存在していることが判明した。これらの転写因子は、慢性期の低酸素環境(48時間以降)でその活性が顕著に増加することが明らかになった。CREB, NF-kBのがん浸潤・転移における役割を、in vitro実験およびマウスへの移植実験を用いて検証した。MB231細胞のCREB、NF-kB、MMP1をそれぞれノックダウンしたstable lineを樹立した。これらの株は野生型と比べて、細胞移動能、浸潤能が顕著に低下していた。さらに、これらの細胞株をヌードマウスに移植したところ、コントロール細胞と比べて顕著にがん転移能が抑制された。このことから、慢性期低酸素で活性化されるCREB/NF-kB経路が、MMP1の発現誘導を制御して、がん転移に重要な働きをしていることが明らかになった。 2)低酸素環境におけるがんの代謝制御 がんは低酸素環境を形成して、解糖系に依存した代謝様式を示す。PDHはピルビン酸をアセチルCoAへと変換する酵素であり、解糖系とTCA回路を結びつける役割を担う。低酸素応答の中心分子の一つPHD3がPDHと結合して、その活性を正に制御して、がんにおける代謝に関与することが明らかになった。以上の成果をまとめ、論文発表した。
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Research Products
(4 results)