2013 Fiscal Year Research-status Report
Wntシグナル伝達におけるIQGAP1を介したβカテニンの核内移行機構の解析
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24590344
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
後藤 利保 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (00517518)
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Keywords | IQGAP1 / Wnt / 核内移行 / シグナル伝達 / アフリカツメガエル |
Research Abstract |
本研究はCanonical Wntシクグナル伝達経路におけるIQGAP1を介したβ-cateninの核内移行の機構の解明を目的とする。当該年度は初年度に引き続き、下記の項目を実施計画とした。 1、β-catenin、DVL2、IQGAP1の複合体形成とImportin-β5(Ipo-β5)を介在する複合体の核内への移行機構の解明。2、Ipo-β5とRanのWntシグナル伝達機構における役割の検証。 当該年度の成果として、Canonical Wntシグナル伝達において、もっとも重要なβ-cateninの細胞内での局在を中心に研究を行い、Journal of Cell Biologyに原著論文として発表した。内容としては、β-catenin/DVL2/IQGAP1の複合体の内、IQGAP1はβ-cateninの細胞質内での分解や核内でのWnt標的遺伝子の転写活性化には関与せずに、β-cateninが細胞質から核内に移行する時のみに作用していることを明らかにした。IQGAP1による複合体の核内移行は核内移行因子の一つであるIpo-β5の介在することを示唆した。また、Small GTPaseに属する別の核内移行因子Ranの活性化状態にもIQGAP1は影響を及ぼし、IQGAP1はRanGAPとRanの結合を妨げることにより、RanGAPによるRanの不活性化を防ぎ、Ranの活性化状態を維持していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次年度の実施計画は予定通りに遂行され、研究期間全体での進捗度もおおむね順調と考えられる。 初年度から継続し、Wntシグナル伝達経路の新規の機構として、β-cateninの核内移行におけるIQGAP1、Importin-β5、Ranの分子機構を解明した。異性体が複数存在するIQGAP、DVL、Importinにおいて、IQGAP1、DVL2、Importin-βの組み合わせにおけるβ-cateninの核内移行の分子機構を詳細に解明したことは、他の異性体の組み合わせでの分子機構を解明する段階での重要な手がかりになるといえ、最終年度の研究を行う上でおおいに役立つ結果が得られたと言える。また、上記の研究内容をJournal of Cell Biologyに原著論文として発表でき、順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の研究がおおむね計画通りに進み、当初より計画していた通り、最終年度は以下のような研究計画を遂行していく予定です。 1、IQGAP1やDVL2以外の異性体に対して、機能欠失によるWnt標的遺伝子の発現やβ-cateninの核内移行への影響を調べる。2、各Importin-βファミリー遺伝子に関して、培養細胞系ではsiRNAを、ツメガエルではmorpholino oligoを用いて、機能欠失を行い、 Wnt標的遺伝子の発現とβ-cateninの核内移行への影響を調べる。3、新たに判明したWntシグナル伝達経路に関わるImportin-βファミリー遺伝子に対してIQGAPの各異性体との関与、及びβ-cateninの核内移行に関わる分子機構を解明する。この2年間と同様に各論~多様化の探索~各論といった流れで研究を進めていく。論文として発表する上で、どの遺伝子に集中して研究を遂行するかは適宜判断していくものとする。
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Research Products
(3 results)