2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞膜の脂質組成恒常性維持のための新規転写因子の同定および調節機構の解明
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24590358
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
杉本 博之 獨協医科大学, 医学部, 教授 (00235897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀端 康博 獨協医科大学, 医学部, 助教 (80392116)
佐藤 元康 獨協医科大学, 医学部, 助教 (20418891)
青山 智英子 獨協医科大学, 医学部, 助教 (90420778)
安戸 博美 獨協医科大学, 医学部, 助教 (10704885)
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Keywords | Phosphatidylethanolamine / CTP:phosphoethanolamine / Cytidylyltransferase / 25-hydroxycholesterol / HMG-CoA reductase |
Research Abstract |
本研究の目的は、細胞膜を構成する主なリン脂質であるホスファチジルエタノールアミン(PE)合成の律速酵素CTP:ホスホエタノールアミン・シチジリルトランスフェラーゼ(ET)の活性調節機構に注目し、ETの活性制御機構を転写および翻訳後レベルで解明することである。コレステロール合成の律速酵素HMG-CoAレダクターゼの転写調節機構にも注目し、PEとコレステロールの合成がどのような機構により協調して細胞膜脂質組成の恒常性が維持されているのかも解明する。その過程で、ETのプロモーターにはSterol regulatory element (SRE)を認めないが、 25-ヒドロキシコレステロール(25-OHC)がETの転写および酵素活性を抑制することを見出し報告した。 平成24年度は、マウスETプロモーターのレポーター解析から、-57/-37領域に25-OHCにより転写抑制を受ける領域が確認された。-57/-37 領域のGel-shift法から、本領域内に結合する転写因子を認め、Yeast one hybrid法により、本領域に結合する転写因子Yin Yang 1 (YY1)とNF-YCを得ることができた。 平成25年度は、YY1に対するsi-RNAで細胞を前処理し25-OHC添加によるET mRNA量への影響を検討したところ、内因性YY1の低下により25-OHCのET転写への抑制効果が減弱した。NF-YはA、B、Cの複合体でありNF-YAに対するsi-RNA処理を行ったところ、YY1同様25-OHCによる抑制効果が減弱した。ところが、NF-YCのsi-RNA処理では、25-OHCによる抑制効果が増強した。このことからYY1とNF-YAは25-OHCに応答しETの転写抑制効果を示すが、NF-YCは転写の維持に関わりYY1やNF-YAとは異なる機能を有することが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞膜を構成する主な脂質には、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)およびコレステロールが知られており、それら脂質の細胞膜における組成はほぼ一定に保たれている。本研究の目的はPE合成の律速酵素CTP:ホスホエタノールアミン ・シチジリルトランスフェラーゼ(ET)の活性調節機構に注目し、ETの活性制御機構を転写および翻訳後レベルで解明することである。同時にコレステロール合成の律速酵素 HMG-CoAレダクターゼの活性調節機構にも注目し、PEとコレステロールの合成がどのような機構により協調して細胞膜脂質組成の恒常性が維持されているのか、その新たな調節機構を分子のレベルで見出す事である。 これまでの研究により、Yin Yang 1 (YY1)とNF-YがETのプロモーターに結合し25-OHC添加によるETの転写抑制機構に関わることが明らかになった。YY1もNF-YもET転写の促進性転写因子として作用していることがレポーター解析から確認されたが、25-OHC添加によりその促進作用が低下することも明らかになった。 HMG-CoAレダクターゼのプロモーターにも注目し転写調節機構を解析したところ、HMG-CoAレダクターゼのプロモーターにもNF-Yが結合し、25-OHCに応答した転写抑制に関わることが明らかになった。 以上からおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的はコレステロール合成の律速酵素 HMG-CoAレダクターゼの活性調節機構にも注目し、PEとコレステロールの合成がどの ような機構により協調して行われ細胞膜脂質組成の恒常性が維持されているのか、その新たな調節機構を分子のレベルで見出す事である。これまでの研究から、これら酵素の転写調節を担う因子としてYY1とNF-Yを得ることができた。 マウスHMG-CoAレダクターゼのプロモーター領域にはSREが存在するが、このプロモーターのレポーター解析から、- 30/-10領域に25-OHCにより抑制性の転写制御を受ける領域の存在が示唆された。その領域にはNF-Yの結合コンセンサスが認められ、Gel-shift法によりNF-Yの結合も確認できた。-400前後の領域にはYY1の結合が認められた。このことはYY1とNF-YによりETの転写制御と同じような機構によりHMG-CoAレダクターゼも転写制御を受けていることが示唆される。 今後は、HMG-CoAレダクターゼの25-OHCによるETの転写抑制機構の解明を、YY1やNF-Yが25-OHC添加によりどのような調節を受けて転写抑制機構に関わるのか解明を進める。YY1やNF-Yのタンパク質レベルでの修飾機構に注目したり、NF-YはA、B、Cの3量体であるがそれらサブユニットの相互作用に25-OHCがどのように影響を及ぼすのかに関しても解明を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消耗品の購入に利用する金額としては小額であるため、次年度に繰り越し、次年度予算とともに使用予定である。 小額なので、消耗品として次年度予算とともに利用する。
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[Journal Article] Muscular dystrophy with large mitochondria associated with mutations in the CHKB gene in three British patients: Extending the clinical and pathological phenotype2013
Author(s)
Ros Quinlivan, Satomi Mitsuahashi, Caroline Sewry, Sebahattin Cirak, Chieko Aoyama, David Mooore, Stephen Abbs, Stephanie Robb, Tina Newton, Celia Moss, Daniel Birchall, Hiroyuki Sugimoto, Kate Bushby, Michela Guglieri, Francesco Muntoni, Ichizo Nishino, Volker Straub
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Journal Title
Neuromusucular Disorders
Volume: 23
Pages: 549-556
DOI
Peer Reviewed
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