2012 Fiscal Year Research-status Report
GATA因子による成熟マスト細胞の機能制御機構の解明
Project/Area Number |
24590359
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
大根田 絹子 高崎健康福祉大学, 薬学部, 教授 (50323291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石嶋 康史 高崎健康福祉大学, 薬学部, 助教 (10433640)
大森 慎也 高崎健康福祉大学, 薬学部, 助手 (10509194)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞分化 / 転写因子 / マスト細胞 |
Research Abstract |
研究代表者らは以前の研究において、誘導的にGATA1の発現を完全に欠失させたマウス骨髄マスト細胞(BMMC)を解析し、成熟マスト細胞の機能維持にGATA1は必須ではないことを見出した。一方、骨髄細胞をIL-3とSCFで培養し、マスト細胞に分化させる過程で、GATA2の発現が著しく増加していることから、成熟マスト細胞の機能維持には主にGATA2が働いている可能性が考えられた。 本研究は、GATA2のDNA結合ドメインであるCFをコードするエクソン5を誘導的に欠失するマウス(GATA2deltaCF)を用いて、成熟マスト細胞におけるGATA1とGATA2の重複する機能と、独自の機能を明らかにすることを目的とする。 平成24年度は、GATA2deltaCFマウスの骨髄マスト細胞において、4-ヒドロキシタモキシフェンによってGATA2CFを欠失させ、経時的に解析を行った。その結果、フローサイトメトリー解析において、GATA2CF欠失後、c-KitとFceRIaの発現が徐々に低下し、未熟な骨髄球系細胞に特徴的なGr1やMac1の発現が増加した。また、細胞の形態も明らかに変化し、顆粒の消失や核細胞質比の増大が観察された。定量的RT-PCRにおいても、骨髄球系の未分化マーカーであるC/EBPalphaとMyeloperoxidaseの発現が著しく増加していた。一方、GATA2CF欠失による細胞死の増加や細胞数の著しい変化は観察されなかったことから、元々のBMMCが全て死滅して新しい細胞集団と入れ替わったのではなく、c-Kit+FceRIa+のBMMCが脱分化したと考えられた。 これらの結果と、以前行ったGATA1欠失BMMCの解析結果は、成熟マスト細胞の機能維持に働いているのは主にGATA2であることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GATA2のDNA結合ドメインであるCFをコードするエクソン5を誘導的に欠失するマウス(GATA2deltaCF)から得られた骨髄マスト細胞の解析から、以前行ったGATA1欠失BMMCの解析結果と整合性のある結果が得られたため。 また、今後解析する予定であるGATA1とGATA2の両方の発現が低下したBMMCが、マウスの交配およびsiRNAの導入によって解析できる見通しが得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.条件付きGata1・Gata2機能欠失BMMCの解析 前年度解析したGATA2deltaCFマウスと、以前作成したRosa26CreERT2を発現する条件付きGata1欠失マウスを交配し、4-ヒドロキシタモキシフェンの投与によりGATA1とGATA2双方の機能が欠失するBMMCを作成する。マウスの交配は前年度から進めているので、今年度はBMMCの解析をGATA2のみの機能欠失細胞と比較しながら行う。 2.GATA因子欠失BMMCにおけるGATA標的遺伝子の発現解析 GATA1とGATA2の重複する機能と独自の機能を明らかにするため、標的遺伝子の発現解析を行う。特に今回は、表現型に大きな変化が見られなかったGATA1欠失BMMCの機能がGATA2によって代償されているかどうかを確認するため、4-ヒドロキシタモキシフェンの投与によりGATA1を欠失させた細胞にGATA2siRNAを導入した細胞をcontrol siRNA導入細胞と比較する。それぞれの細胞からRNAを抽出して代表的なマスト細胞特異的な遺伝子について、定量的RT-PCR解析を行う。また、GATA1とGATA2の両方またはどちらかの機能欠失により発現が変化した遺伝子については、プロモーター領域や保存されたGATA結合配列のある領域についてクロマチン免疫沈降(ChIP)解析を行い、GATA因子のDNAへの結合の有無を解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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