2013 Fiscal Year Research-status Report
GATA因子による成熟マスト細胞の機能制御機構の解明
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24590359
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
大根田 絹子 高崎健康福祉大学, 薬学部, 教授 (50323291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石嶋 康史 高崎健康福祉大学, 薬学部, 講師 (10433640)
大森 慎也 高崎健康福祉大学, 薬学部, 助手 (10509194)
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Keywords | 細胞分化 / 転写因子 / マスト細胞 |
Research Abstract |
本研究は、成熟マスト細胞におけるGATA1とGATA2の役割を解明することを目的としている。これまでの研究で、研究代表者は、誘導的にGATA1の発現を完全に欠失させたマウス骨髄マスト細胞(BMMC)を解析し、成熟マスト細胞の機能維持にGATA1は必須ではないことを見出した。一方、GATA2のDNA結合ドメインを誘導的に欠失するBMMCs(GATA2deltaCF)では、マスト細胞関連遺伝子の発現が著しく低下していた。 平成25年度は、GATA1の標的遺伝子を明らかにするために、GATA1の発現をノックダウンしたBMMCsを用いてマイクロアレイ解析を行った。その結果、炎症関連遺伝子群やトリプターゼ遺伝子群の発現がGATA1欠失により有意に低下していた。また、トリプターゼ遺伝子が集まるマウス17番染色体A3.3に、GATA結合配列が集積する約500bpの領域が存在し、この領域にGATA1が結合することを見出した。これらの結果から、GATA1は、マスト細胞が関与する炎症を伴う病態において何らかの役割を果たしている可能性が示唆された。 次に、GATA2の機能欠失によって著しく発現低下する遺伝子の発現制御にGATA1がどのように関与しているのか解析した。まず、BMMCs にGATA1とGATA2のsiRNAを共に導入すると、どちらか一方のsiRNAを導入した細胞に較べて、マスト細胞特異的な遺伝子の発現低下がより顕著であることを見い出した。また、GATA1を欠失させても発現低下が見られないKit 遺伝子の-114kb領域とMs4a2プロモーターには、GATA2のみならずGATA1も明らかな結合を示すことがChIP解析により確認された。これらの結果から、BMMCでは、主にGATA2によって制御されているマスト細胞特異的な遺伝子に対して、GATA1も補助的にはたらいていると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、エストロゲン依存性に全身性にCreを発現するRosa26CreERT2を使って、GATA1とGATA2双方の機能が欠失するBMMCを作成する予定であった。しかしながら、平成25年度の研究により、GATA1がマスト細胞に発現する炎症関連遺伝子の制御に関わっていることが示唆されたので(概要参照)、今後は種々の病態を再現する個体レベルの実験によって、GATA1の機能解析を行いたいと考えた。Rosa26CreERT2は、全ての細胞にCreを発現させるため、GATA1欠失マウスは赤血球でのGATA1欠失による分化障害のため進行性の貧血を来たす。種々の病態を再現する個体解析に適した実験系を構築するため、現在マスト細胞特異的なCreERT2マウスを作製中である。これらの研究計画の変更は、本研究で見出した新たな知見に伴う発展的なものであり、達成度としてはおおむね順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.マスト細胞特異的 Gata1欠失マウスの作成 上述したように、平成25年度にマスト細胞特異的なCreERT2マウスとして、Cpa3CreERT2マウスの作成に着手し、現在までに2ラインのトランスジェニックマウスが得られている。平成26年度中にCre-loxPで組み替えがおこる細胞の特異性を確認し、マスト細胞特異的 Gata1欠失マウスを作製したい。 2.GATA2機能欠失BMMCにおけるGATA標的遺伝子の解析 GATA1とGATA2の重複する機能と独自の機能を明らかにするため、平成26年度はGATA2機能欠失によって著しく発現低下していた遺伝子のGene Ontology解析を行う。特に、予想外の細胞機能や、マスト細胞に発現していることが知られていなかった 発現の低下がみられていないかどうか検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に得られた研究成果により、マスト細胞特異的なCpa3CreERマウスを作製し、マスト細胞特異的 Gata1欠失マウスの解析を行うこととした。GATA1/GATA2 ダブルノックアウトマウスも、これまで使用していたRosa26CreERT2マウスではなく、Cpa3CreERマウスを用いる予定である。この計画変更により、マウスの管理および解析に用いる経費の支出が後ろにずれたため。 マスト細胞特異的なCpa3CreERマウスの維持、管理とこのマウスを用いたマスト細胞特異的 Gata1欠失マウスの解析に用いる。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] GATA factor switching from GATA2 to GATA1 contributes to erythroid differentiation.2013
Author(s)
Suzuki M, Kobayashi-Osaki M, Tsutsumi S, Pan X, Ohmori S, Takai J, Moriguchi T, Ohneda O, Ohneda K, Shimizu R, Kanki Y, Kodama T, Aburatani H, Yamamoto M.
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Journal Title
Genes Cells.
Volume: 18
Pages: 921-933
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Establishment of erythroleukemic GAK14 cells and characterization of GATA1 N-terminal domain.2013
Author(s)
Mukai HY, Suzuki M, Nagano M, Ohmori S, Otsuki A, Tsuchida K, Moriguchi T, Ohneda K, Shimizu R, Ohneda O, Yamamoto M.
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Journal Title
Genes Cells.
Volume: 18
Pages: 886-898
DOI
Peer Reviewed
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