2012 Fiscal Year Research-status Report
腸管免疫のダブルレギュレーション機構とその破綻による炎症性腸炎
Project/Area Number |
24590380
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡澤 秀樹 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80334126)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / 生体分子 / 癌 / 炎症 / 免疫学 |
Research Abstract |
炎症性腸疾患(IBD)の原因はいまだ十分に明らかにされていない。これまで腸管免疫や腸炎の病因の研究は、腸粘膜に存在する免疫担当細胞とその異常を中心に行われてきた。一方、近年、腸上皮細胞が単なるバリアではなく、腸内環境を監視して直接に腸管免疫を制御することが明らかにされつつある。そこで、本研究では、研究代表者らが独自に見出しているシグナル系であるチロシンホスファターゼSAP-1/pp90系や膜型分子間シグナルCD47-SIRPα系を切り口として、IBDの発症機構をよりよく理解するために、腸上皮細胞系と免疫系による腸管免疫のダブルレギュレーション機構とその異常につき研究を進め、今年度は以下の研究成果を得た。 (1)SAP-1/pp90系について:SAP-1とその脱チロシンリン酸化基質であるpp90の機能を介した腸管免疫制御の分子機構について培養細胞およびSAP-1遺伝子破壊(KO)マウスを用いた解析から、pp90がSrcファミリーキナーゼによりチロシンリン酸化を受け、リン酸化依存的にケモカイン産生の制御に関与することを見出した。また、pp90の生理機能をより詳細に解析するため、pp90の腸上皮細胞特異的トランスジェニック(TG)マウス、および遺伝子破壊(KO)マウスの作製を進め、pp90のTGマウスおよびKOマウスを得ることが出来た。 (2) CD47-SIRPα系について:腸管免疫制御において腸粘膜固有層CD11c+ 樹状細胞(DC)およびマクロファージが重要であるが、これらの細胞におけるSIRPαの生理機能および分子機構を解析を進める目的で、DC特異的またはマクロファージ特異的なSIRPαKO、および、T細胞特異的にCD47を欠損したマウスの作出のためCD47-Floxマウスの作製を進め、今後の解析に必要となる遺伝子改変マウスを得ることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を進める上で、欠くことの出来ないpp90のKOマウスやTGマウス、また、SIRPα、CD47のコンディショナルKOマウスが順調に作製出来た。さらに、pp90については、腸上皮細胞におけるケモカイン産生の制御に関与することを明らかとし、また、その制御機構についても順調に解析が進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に作製した遺伝子改変マウスを使用し、個体レベルでのSAP-1/pp90系およびCD47-SIRPα系を介した腸管免疫制御機構の解析を進めることで、本研究目的である腸上皮細胞系と免疫系による腸管免疫のダブルレギュレーション機構とその異常について研究を更に進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬等の消耗品などの実際の購入費が予定購入額よりも低かったため、次年度に本年度使用予定であった予算が一部持ち越しされた。次年度は、持ち越し分を主に物品費(消耗品)に使用しすることで、次年度に行う本研究をより推進させる予定である。
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Research Products
(6 results)