2013 Fiscal Year Research-status Report
腸管免疫のダブルレギュレーション機構とその破綻による炎症性腸炎
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24590380
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡澤 秀樹 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80334126)
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Keywords | シグナル伝達 / 生体分子 / 癌 / 炎症 / 免疫学 |
Research Abstract |
本研究では、研究代表者らが独自に見出しているシグナル系であるチロシンホスファターゼSAP-1/pp90系や膜型分子間シグナルCD47-SIRPα系を切り口として、IBDの発症機構をより理解するため、腸上皮細胞系と免疫系による腸管免疫のダブルレギュレーション機構とその異常につき研究を進め、今年度は以下の研究成果を得た。 (1)SAP-1/pp90系について:昨年度作製したpp90遺伝子破壊マウス(pp90 KOマウス)の解析を進めた。その結果、pp90 KOマウスは、正常に生まれ、通常の飼育下において、腸炎の発症などは認められなかった。また、腸管の組織学的な解析から、腸管の構造、上皮細胞の形態などに顕著な異常は認められなかった。一方、薬剤誘導性の腸炎をpp90 KOマウスに誘導したところ、野生型に比べpp90 KOマウスでは腸炎の重症度が高まる傾向が認められ、マウス個体においてpp90が上皮細胞を介した腸管免疫制御に関与することを示唆する実験結果を得た。 (2)CD47-SIRPα系について:腸管免疫制御において重要な樹状細胞およびマクロファージ特異的なSIRPα KOマウスについて解析を進めた。フローサイトメーターを用いた解析から樹状細胞特異的SIRPα KOマウス(SIRPα-flox/CD11c-Creマウス)では樹状細胞においてのみSIRPαが欠損していたが、マクロファージ特異的SIRPα KOマウス(SIRPα-flox/LyzM-Creマウス)ではマクロファージのほかに樹状細胞においてもSIRPαが欠損していることが明らかとなった。一方、SIRPαのリガンドであるCD47に関してはCD47-floxマウスを作製し、さらに、樹状細胞またはT細胞特異的にCD47を欠損するマウスの作製を進める段階へと至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度作製したpp90 KOマウスの解析、SIRPα-flox/CD11c-Creマウス、SIRPα-flox/LyzM-Cre、CD47-floxマウスの解析を順調に進めることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
pp90 KOマウス、pp90トランスジェニックマウス、SIRPα-flox/CD11c-Creマウス、SIRPα-flox/LyzM-Creマウス、CD47-floxマウスを用いて腸管免疫制御機構の解析を更に進め、本研究の目的である腸上皮細胞系と免疫系による腸管免疫のダブルレギュレーション機構とその異常について明確化していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入した試薬の単価が予想額より低かったため。 試薬等の消耗品などの実際の購入費が予定購入額より低かったため、次年度使用予定であった予算が一部持ち越された。次年度は、持ち越し分を主に物品費(消耗品)に使用することで、次年度に行う本研究をより推進させる予定である。
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Research Products
(13 results)