2012 Fiscal Year Research-status Report
サイトカインシグナルによる乳腺細胞の腺房構築異常とがん化との関連
Project/Area Number |
24590382
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
福田 信治 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70398238)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 乳腺細胞 / EGF受容体 |
Research Abstract |
不死化ヒト乳腺細胞MCF10Aは3次元培養によって増殖因子epidermal growth factor (EGF)依存的に腺房様の構造を形成する。本研究の最終目標はSTATを活性化するサイトカインIFN-gammaとIL-6が、MCF10Aによる腺房様構造の構築異常を引き起こす過程をin vitroで解析し、その分子機構を解明することである。初年度はまず、IFN-g, IL-6添加の前段階の研究として、培養に使用するMCF10Aの挙動の解析を中心に研究を行った。EGFはEGF受容体の活性化とそれに続く分解を促進するため、Western blot法により、この細胞内シグナル伝達経路の活性化を解析した。MCF10AをEGF刺激すると、下流のシグナル分子MEK1, Erk1/2のリン酸化、及び転写因子Elk1による転写活性化が観察された。IFNg, IL6添加ではリン酸化STAT1及びSTAT3も検出された。これらの過程をライブイメージングするにはFRET解析を行う必要があるため、まずはHeLa細胞を用いて、ErkをFRET解析する実験系を導入した。さらに細胞運動の過程を客観的に観察するため、ライブイメージング装置を用いて、細胞運動の自動解析を行った。細胞運動の解析時には、IFNg, IL6を添加し、2次元培養での細胞の移動速度を解析した。これらの実験系を導入できたことにより、MCF10Aの挙動を詳細に解析できることが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究によりEGFの処理濃度によって細胞内シグナル伝達経路が変化し、乳腺細胞の形態を制御するという興味深い表現型を見いだした。一方、2次元培養したMCF10Aに対するIFN-g, IL-6の効果はEGF顕著ではなかった。この結果はIFN-g, IL-6の作用を検討するためには3次元培養という、より生体に近い条件での解析が必要なことを示唆した。
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Strategy for Future Research Activity |
EGFで培養したMCF10A内で起きているシグナル伝達イベントを十分理解した上でSTAT経路とのクロストークを解析する必要があるため、引き続き異なるEGF濃度で下流因子の活性化がどのように変化するかを解析する。また下流の転写因子の機能を知るため、マイクロアレイ解析を用いて標的遺伝子の同定を行う。 研究の遂行に不可欠なFRET実験系の確立のため、顕微鏡の調整に多くの時間を費やした。このため本年度予定していたノックダウン実験を来年度の研究とし、siRNAの購入費用を次年度使用額として計上した。ただしノックダウン実験自体は研究費申請時に既に導入していた実験系のため、計画の遅延はないと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞内シグナル伝達経路をさらに詳細に解析するには、EGF受容体複合体を回収し、その会合分子の結合状態を知る必要がある。このために、シグナル伝達分子に対する抗体及びこれらをノックダウンするためのsiRNAの購入を計画している。またIFN-g, IL-6シグナル伝達経路による標的遺伝子の同定のため、マイクロアレイ解析を行う予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Nuclear translocation of the cytoplasmic domain of HB-EGF induces gastric cancer invasion2012
Author(s)
Shimura T, Yoshida M, Fukuda S, Ebi M, Hirata Y, Mizoshita T, Tanida S, Kataoka H, Kamiya T, Higashiyama S, Joh T
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Journal Title
BMC Cancer
Volume: 12
Pages: 205
DOI
Peer Reviewed
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