2014 Fiscal Year Annual Research Report
染色体脆弱部位におけるファンコニ貧血蛋白質群の機能解明
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24590391
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
松下 暢子 東京薬科大学, 生命科学部, 准教授 (30333222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳 茂 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (60252003)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | DNA損傷修復 / DNA複製 / ファンコニ貧血 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究において、DNA損傷後における複製ストレス応答制御機構を解明することを目指して実験を行ってきました。まず、複製ストレス応答の異常が発症の大きな要因となるファンコニ貧血の原因遺伝子群の機能解析を目的として、抗癌剤や放射線への感受性を用いた遺伝学的解析によってファンコニ貧血遺伝子群の詳細な機能解析を行いました (Cell Reports, 2014)。 さらに、siRNAライブラリーを使用したポストゲノム的なアプローチによって、複製ストレス応答制御機構に機能する遺伝子群の同定を行いました。その結果、現在までにクロマチンリモデリングに機能する複数の遺伝子を同定し、そのうちの一つについてはファンコニ貧血原因遺伝子であるFANCD2と結合することを明らかにし、この遺伝子(D2RP:D2 related protein)の機能の解析を行ってきました。D2RP遺伝子の発現抑制時におけるMMCやシスプラチンなどのDNA架橋剤に対する感受性を検討したところ、コントロールと比較して有為に感受性が亢進していましたが、FANCD2のクロマチン上への移行増加が認められました。これら結果より、D2RPはFANCD2と結合しますが、DNA損傷時におけるFANCD2の損傷部位への移行には関与していないことが明らかになりました。さらに、D2RP遺伝子の発現抑制時にはH2AXのリン酸化レベルの増加や、FANCD2のフォーカスだけではなく、DNA損傷修復経路と複製フォークの安定性維持機構の2つのネットワークに共通する因子であるRad51蛋白質のフォーカス形成の増加が認められることからD2RP1発現抑制によりDNA損傷の亢進がひきおこされることがわかりました。
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