2012 Fiscal Year Research-status Report
自己免疫疾患の発症要因としてのNKレセプターリガンド群の発現抑制機構
Project/Area Number |
24590398
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
成瀬 妙子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教 (80422476)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 彰方 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60161551)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | NKレセプターリガンド / ULBP / DNAメチル化 / 遺伝子発現 / 連鎖不平衡ブロック / ゲノム多様性 |
Research Abstract |
本研究では、NK細胞レセプター(NKG2D)のリガンドであるULBP分子群に着目し、難治性血管炎(高安病、バージャー病、慢性血栓塞栓性肺高血圧症)、若年性糖尿病、慢性関節リウマチ、自己免疫性腸炎などの自己免疫疾患を対象として、ULBP遺伝子群の多型と個々の自己免疫疾患との関連を明らかにする。また、疾患関連多型とULBP遺伝子領域のDNAメチル化および個々のULBP遺伝子発現性との関係を明確にし、さらにそれらがNK細胞機能に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 平成24年度は、日本人一般集団由来のBリンパ芽球様細胞株96種を用いてULBP領域内の遺伝子多型―DNAメチル化―遺伝子発現パターンの関係を体系的に検討し、特定のULBP遺伝子の発現性と関連するULBP領域連鎖不平衡ブロックを特定することとした。 その結果、ULBP遺伝子群では、ULBP4-ULBP5遺伝子近傍において高頻度なメチル化が起こっていることをみいだした。さらに、特定のtagSNPが前述のメチル化と部位と連鎖不平衡にある可能性をみいだした。 そこで、平成25年度に先駆け、大腸がん患者由来サンプルを用いて同様の検索を行ったところ、メチル化頻度、発現パターン共に日本人由来サンプルとは異なることが明らかになったため、平成25年度計画に含まれている自己免疫疾患患者由来サンプルについて、グレーブス病患者92例を用いてtagSNPの検索に着手した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、NK細胞レセプター(NKG2D)のリガンドであるULBP分子群に着目し、自己免疫疾患を対象として、ULBP遺伝子群の多型と個々の自己免疫疾患との関連を明らかにすることを目的としている。このため、疾患関連多型とULBP遺伝子領域のDNAメチル化および個々のULBP遺伝子発現性との関係を明確にし、さらにそれらがNK細胞機能に及ぼす影響を明らかにする。 平成24年度は、日本人一般集団由来のBリンパ芽球様細胞株96種を用いてULBP領域内の遺伝子多型―DNAメチル化―遺伝子発現パターンの関係を体系的に検討し、特定のULBP遺伝子の発現性と関連するULBP領域連鎖不平衡ブロックを特定することとして以下の実験を遂行した。1.日本人由来のBリンパ芽球様細胞株96種を用いて、ULBP領域内に存在するCpGアイランドのメチル化パターンをバイサルファイトシークエンシング法によって明らかにする。2.上記細胞株について、ULBP領域内のtagSNP群をタイピングし、連鎖不平衡ブロック構造を明確にする。3.上記細胞株についてmRNAを抽出、ULBP1~ULBP6遺伝子発現パターンを検討する。4.上記で得られたデータについて、ULBP領域内の遺伝子多型―DNAメチル化―遺伝子発現パターンの関係を体系的に検討し、特定のULBP遺伝子の発現亢進ないし発現低下と密に関連するULBP領域連鎖不平衡ブロックを検討する。 これまでに、ULBP遺伝子群では、ULBP4-ULBP5遺伝子近傍において高頻度なメチル化が起こっていることをみいだした。さらに、特定のtagSNPが前述のメチル化部位と連鎖不平衡にある可能性をみいだした。そこで、平成25年度に先駆け、大腸がん患者由来サンプルを用いて同様の検索を行ったところ、メチル化頻度、発現パターンのいずれもが日本人由来Bリンパ芽球サンプルとは異なっていた。
|
Strategy for Future Research Activity |
Bリンパ芽球様細胞株を用いてULBP領域内tagSNP解析、ULBP領域内メチル化パターン、およびULBP遺伝子群発現性を検討する。 自己免疫疾患患者を対象とした解析を行うとともに、ULBP遺伝子群発現パターンの機能的意義について検討する。 リガンド遺伝子を導入した細胞とNK細胞を共培養し、NKG2レセプターの発現性を検討する実験についても、形質転換細胞の作成に着手する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
メチル化パターンを特定するためのメチル化キット、バイサルファイトシークエンシング法に用いる試薬一式、tagSNP解析に用いるプローブ、形質転換細胞の作成に必要な試薬一式の購入に充てる。 また、研究成果発表および情報収集のための旅費に使用する。
|
Research Products
(8 results)