2013 Fiscal Year Research-status Report
自己免疫疾患の発症要因としてのNKレセプターリガンド群の発現抑制機構
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24590398
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
成瀬 妙子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 特任助教 (80422476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 彰方 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60161551)
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Keywords | NKレセプターリガンド / ULBP / DNAメチル化 / 遺伝子発現 / 連鎖不平衡ブロック / ゲノム多様性 |
Research Abstract |
本研究では、NK細胞レセプター(NKG2D)のリガンドであるULBP分子群に着目し、難治性血管炎、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患などの慢性炎症性疾患および自己免疫疾患を対象とし、ULBP遺伝子群の多型と個々の疾患との関連を明らかにするとともに、ULBP遺伝子群多型とULBP遺伝子領域のDNAメチル化および個々のULBP遺伝子発現性との関係を明確にし、さらにそれらがNK細胞機能に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 昨年度までに、大腸がん細胞株ではULBP4-5近傍が高度にメチル化されており、ULBP4および5の発現が認められることを明らかにしているが、本年度は、Bリンパ芽球様細胞株を用いて、この領域のメチル化と遺伝子発現パターンを解析した。その結果、Bリンパ芽球細胞株では高度なメチル化は観察されず、ULBP5は発現するもののULBP4の発現が検出されなかったため、本領域のメチル化はULBP4遺伝子の発現性と逆相関すると考えられた。 ついで、グレーブス病患者83例について、ULBP領域に存在するtagSNP 6種を用いてタイピングを行ったところ、ULBP4遺伝子近傍のあるSNPのホモ接合型が患者群に多い傾向が認められた(case 31.3% vs control 20.8%, p<0.06 OR1.72)。 一方、ULBP遺伝子群の重複や多型についての意義を検討するために、旧世界ザル(アカゲザルおよびカニクイザル)のULBP2遺伝子群の多様性を決定するとともに、霊長類におけるULBP遺伝子群の進化系統樹を作成したところ、旧世界ザルではULBP2遺伝子が重複していること、ULBP遺伝子群の祖先型は旧世界ザルのULBP2遺伝子より分岐したこと、ヒトULBP6遺伝子はチンパンジーやゴリラと分岐した後にULBP2遺伝子が重複して形成されたと推定された。さらに、旧世界ザルのULBP2遺伝子群ではNKG2Dとの結合部位と推測されるアミノ酸残基に多型が見いだされたことから、NKG2Dとの結合能への影響を検討するための良いモデルになると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大腸がん細胞株およびBリンパ芽球様細胞においてULBP4-5近傍のメチル化パターンおよびULBP遺伝子群の発現性を検討し、ULBP4遺伝子の発現性はメチル化の程度と逆相関することを明らかにした。また、自己免疫疾患を対象とした関連解析では、グレーブス病とULBP4多型との間に関連傾向を見出したことから、今後さらに解析患者数を増やし、関連を確認するとともに、病態との関連を検討する予定である。一方、霊長類ULBP遺伝子群の進化学的検討は、ヒトにおけるULBP遺伝子群の構造と機能的意義に関する示唆を与えた。
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Strategy for Future Research Activity |
グレーブス病の病態分類別による解析と、若年性糖尿病、慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患を対象とした解析を行う。 アカゲザルULBP2遺伝子群で見いだされたNKG2Dとの結合部位における多型の機能的意義を検討する。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Two susceptibility loci to Takayasu arteritis reveal a synergistic role of the IL12B and HLA-B regions in a Japanese population.2013
Author(s)
Terao C, Yoshifuji H, Kimura A, Matsumura T, Ohmura K, Takahashi M, Shimizu M, Kawaguchi T, Chen Z, Naruse TK, Sato-Otubo A, Ebana Y, Maejima Y, Kinoshita H, Murakami K, Kawabata D, Wada Y, Narita I, Tazaki J, Kawaguchi Y, Yamanaka H, Yurugi K, Miura Y, Maekawa T, Ogawa S, Komuro I, Nagai R, Yamada R, et al
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Journal Title
Am J Hum Genet.
Volume: 93
Pages: 289-297
DOI
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