2012 Fiscal Year Research-status Report
生活習慣病に繋がるエピゲノム変化が胎生期低栄養により形成される機序の解明
Project/Area Number |
24590399
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 憲子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (70280956)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 胎生期低栄養 / 子宮内環境 / 生活習慣病 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
胎生期~乳幼児期の環境の良し悪しは、生涯にわたる健康状態、特に生活習慣病の発症リスクを左右することが多くの疫学研究及び動物実験によって示されて来た。特にオランダ飢饉に関する疫学研究は、生活習慣病のリスクは低栄養に曝された時期に依存し、経胎盤栄養供給が本格化する前の妊娠初期曝露が最もリスクが高いことを示した。しかし動物モデルでは妊娠全期間あるいは授乳期に至るまでの長期間に母動物に低タンパク質食を与えて仔動物に肥満や糖・脂質代謝異常を誘導する系が一般に用いられている。本研究では妊娠前期のみに限定して低タンパク質食を母マウス(F0)に与え、F1マウスに及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。 胎内低栄養によって引き起こされる変化の最初のイベントを明らかにするために胎仔形成の各段階におけるDNAメチル化状態変化を解析した。F1の全胚 (E3.5, E6.75, E10.5 (ts17), E13.5)、胚(E13.5)組織、羊膜(E16.5)、MEF(E16.5)をサンプリングし、Lepプロモーター領域のDNAメチル化状態を解析した。その結果、コントロール群、低栄養群共にE3.5ではDNAメチル化修飾が消失しているが、E10.5にかけて新生DNAメチル化が進行し、両者とも約72%にメチル化レベルが上昇した。しかしE13.5にコントロール群と低栄養群との間に差が生じ、コントロール群(71%)に比べ低栄養群(64%)のメチル化レベルが低下した(p < 0.00035, Fisher’s exact test)。この傾向はE16.5のMEF(p < 0.0037)、羊膜(p < 0.0001)、成体の白色脂肪組織(p < 0.0002)でも見られた。このことから、胎内低栄養によって引き起こされるエピゲノム状態の変化が新生DNAメチル化過程終了後に起こり、維持されることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究目的のうち、1―胎生初期のみに限定して胎内低栄養状態を設定し、胎児発生の各段階におけるDNAメチル化状態変化を調べ、胎内低栄養によって引き起こされる変化の最初のイベントを明らかにする、2-また、胎児に現れたDNAメチル化状態の変化が同様に羊膜にも現れるかどうかを明らかにする、の2点については、候補遺伝子領域であるLepプロモーター領域について解析を終了し、新生DNAメチル化過程終了後の脱メチル化制御が胎内低栄養により影響を受けることを明らかにできたことから、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、妊娠初期に低タンパク質食を与えた母から生まれた仔マウスF1成体の代謝組織(脂肪組織、肝臓など)のマイクロアレイによる遺伝子発現プロファイルの解析は既に進行中であるが、それをさらに進める。F1成体に自由給餌、絶食、絶食後再摂食の実験を行い、発現応答プロファイルのダイナミズムに胎生期低栄養がどのような影響を及ぼすのかを解析する。マイクロアレイで得られた結果の一部はreal-time RT-PCRで確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝子発現変化の確認のためのプローブの購入、real-time RT-PCR等の分子生物学実験試薬の購入に用いる。
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Research Products
(1 results)