2014 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病に繋がるエピゲノム変化が胎生期低栄養により形成される機序の解明
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24590399
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐藤 憲子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (70280956)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 分子シャペロン / 胎生期環境 / エピジェネティクス / 生活習慣病 / ストレス応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年に引続き、妊娠前期に限定して母マウス(F0)に低タンパク質食を与え、F1成体(雄)の白色脂肪組織の遺伝子発現に及ぼす影響についてDNAマイクロアレイを用いて網羅的に解析した。老齢化していない8-9週齢の時点における遺伝子発現の差は、肝臓組織の場合と同様、成体への絶食負荷時に検出された。コントロール群と実験群の遺伝子発現の差の検出にはSAM(Significance Analysis of Microarrays)法を用いた。FDR < 10 %, p < 0.05, Fold change > 1.5の条件では、実験群で発現が上昇した遺伝子数は3、低下した遺伝子数は29と肝臓に比べて少なかった。WebGestaltによりパスウェイ解析を行った結果、実験群では、Ccl5などのケモカイン遺伝子の発現が有意に低かった(ratio of enrichment = 15.33, BH adjusted p = 3.48 x 10-5)が、該当するケモカイン遺伝子は絶食時にのみ発現レベルが上昇するため、絶食時に白色脂肪組織内に存在する免疫系細胞の比率の違いを反映しているのではないかと考えられた。絶食時のアポトーシスや脂肪代謝に関連した遺伝子の発現には両群の間に統計学的な有意差は認められなかった。また、平成24年度にLepプロモーターのDNAメチル化レベルがコントロール群と実験群で異なることを示したが、自由摂食時においてLepの遺伝子発現には差がみられなかった。結果として、成体の代謝臓器の絶食応答における妊娠前期の低栄養の影響は、主に肝臓に現れた。特に肝臓の絶食応答には通常たんぱく質恒常性を制御する分子シャペロンの誘導もみられるが、その反応は妊娠前期の低栄養に感受性があることがわかった。なお白色脂肪組織には絶食に対する分子シャペロンの応答経路は存在しないことも今回わかった。
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Research Products
(2 results)