2013 Fiscal Year Research-status Report
基本転写因子TAF1が関与する転写障害と神経変性の研究
Project/Area Number |
24590400
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
牧野 悟士 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 研究支援者 (30423403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠山 育夫 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 教授 (20207533)
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Keywords | 遺伝子 / 核酸 / 神経 / 発現制御 |
Research Abstract |
本研究の目的は、多くの組織で普遍的な発現様式と機能を持つ基本転写因子TFIID複合体の最大のサブユニットであるTAF1の異常がなぜ選択的な神経細胞脱落につながるのか、転写障害が神経変性を引き起こす可能性の観点から調べることである。そのために、TAF1が関与する遺伝子を網羅的にスクリーニングすること、神経細胞特異的に働く機能を同定することを計画した。昨年度までに、TAF1の神経細胞特異的なアイソフォームについて、マウスホモログのクローニングと組織別の発現定量解析を行い、マウスホモログがヒトのそれと同様に神経細胞特異的な発現を示し、生物種を越えて保存されていることを見いだした。また、TAF1が結合するDNA領域を同定するための、クロマチン免疫沈降法に必要な特異的抗体を作製した。これらに引き続き、全ゲノムクロマチン免疫沈降シークエンシングの結果得られる配列データから、既知のみならず新規の結合部位や結合モチーフをノイズによる影響を回避して見いだすために、リファレンスゲノムの配列に対するマッピングおよびマッピングされた配列のピークコールを行う解析ソフトウェアを複数検討し、またパラメーターの調整を試みた。また、TAF1とその神経細胞特異的なアイソフォームにおける機能面での差異を調べる実験のひとつとして、39℃でG1期停止を起こすハムスターの変異セルライン(TAF1に変異)に、マウスTaf1および神経細胞特異的なアイソフォームを強制発現させ、レスキューの有無についての比較を実施している。37℃で培養したハムスターの変異セルラインに対して、それぞれの発現コンストラクトをトランスフェクションし、39℃で27時間インキュベートした後にFACSによる細胞周期解析を実施した。これまで、コンストラクトからの発現を蛍光によって確認できており、現在細胞周期に与える影響の評価を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全ゲノムクロマチン免疫沈降シークエンシングにおいては、ノイズの中から意味のある配列データのマッピングピークを見いだすことが重要である。そのためには使用するサンプルの調整や解析ソフトウェアのチューニングが必要となるが、いずれも十分な検討がなされたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
全ゲノムクロマチン免疫沈降シークエンシングにより疾患の病変部位と非病変部位の神経細胞間に特徴的なDNA結合部位を見いだすことが重要である。このため、非神経細胞の混入を可能な限り排除するものとして、クロマチン免疫沈降を実施する前に、摘出した動物脳組織FACSによって分離し、非神経細胞の影響を低減させる。また、TAF1とその神経細胞特異的なアイソフォームにおける機能面での差異を調べるための、細胞周期に関する解析を進める。
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Research Products
(3 results)