2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24590418
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
内田 智久 大分大学, 医学部, 助教 (70381035)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ヘリコバクターピロリ |
Research Abstract |
Helicobacter pylori (ピロリ菌)が惹起する炎症にNF-Bが重要な役割を果たすことは知られているが、NF-Bを調節する分子メカニズムについてはほとんど明らかにされていない。最近私は、TNF-a induced protein 3 (TNFAIP3/A20)がピロリ菌感染によって生じるNF-Bの活性化を負に制御することを見いだした。本研究で、胃炎の病態形成においてA20が果たす役割を明らかにすると共に、アジア各国の胃炎におけるA20の役割を明らかにする。本年度はピロリ菌感染胃炎におけるA20の役割としてin vitro解析を行った。 I. ピロリ菌感染によりA20の発現がどのように変動するかの解析 i) 実験条件Multiplicity of infection (MOI)の決定 胃上皮細胞株として、AGS細胞、MKN45細胞等を用いて、Multiplicity of infection (MOI)=0 (感染なし)~1000でピロリ菌を感染させる。ある一定の濃度まではピロリ菌の濃度依存性にA20の発現が上昇すると予想され、反応が最も鋭敏に検出できるMOI(至適MOI)を決定し、以後の感染実験に用いた。 ii) A20発現解析 (mRNA) i)で決定したMOIで胃上皮細胞株(AGS細胞、MKN45細胞等)に、ピロリ菌株を感染させ、A20とNF-BのmRNA発現をreal-time PCRで検出した。 iii) A20発現解析 (蛋白質) 蛋白質レベルでの発現をウェスタンブロットで検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、ピロリ菌感染に伴うA20の役割の解析のためi) In vitroでの評価として胃上皮細胞株(AGS細胞、MKN45細胞等)に、様々な濃度でピロリ菌株を感染させ(MOI=0~1000)、A20のmRNA発現をreal-time PCRで、蛋白質レベルでの発現をウェスタンブロットで検討する。次に、感染時にピロリ菌と胃粘膜の接着に重要な役割を担うType IV secretion system (T4SS)の関与について、現在保有しているT4SSノックアウトピロリ菌株を用いて検討する。ことを当初の目標としていた。実際には、これらの解析はほとんど終えることができ、ii)アジアのピロリ菌での評価に進むことができた。その内容は以下の通りである。これまでのフィールド研究により、タイ、ベトナム、ブータン、ミャンマーのピロリ菌株をそれぞれ150株以上保有しており、背景胃粘膜及び各種遺伝子情報を含むデータベースを構築している。各国のピロリ菌を胃上皮細胞株に感染させて、採取地域による胃炎の程度に対するA20の関与を明らかにする。
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Strategy for Future Research Activity |
i)アジアのピロリ菌での評価 これまでのフィールド研究により、タイ、ベトナム、ブータン、ミャンマーのピロリ菌株をそれぞれ150株以上保有しており、背景胃粘膜及び各種遺伝子情報を含むデータベースを構築している。各国のピロリ菌を胃上皮細胞株に感染させて、採取地域による胃炎の程度に対するA20の関与を明らかにする。 ii) In vivoでの評価 日本、タイ、ベトナム、ブータン、ミャンマー人の胃粘膜組織の病理検体を用いて、A20抗体による免疫組織化学を行いヒト胃粘膜でのA20発現を検討する。胃粘膜の障害の程度は既にupdated Sydney systemを用いて客観的に評価しており、炎症の程度とA20の発現を統計学的に解析して、A20の胃炎において果たす役割を明らかにする。さらに、スナネズミに感染させた動物モデルを作製し胃粘膜の変化とA20の発現を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額としての2,044円は解析に用いる試薬購入費の一部として使用する予定である。25年度以降の研究費については、当初申請した内容に変更はない。
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Research Products
(1 results)