2012 Fiscal Year Research-status Report
膵癌の進展様式:特にPanIN,IPMNとの関わりと浸潤形態について
Project/Area Number |
24590425
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
清水 道生 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60226256)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | PanIN / IPMN / pancreatic cancer |
Research Abstract |
膵癌切除症例から癌の中心部,辺縁部,および非癌部の組織を,また,膵腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm,endocrine neoplasmおよびsolid-pseudopaillary neoplasm)切除症例からその腫瘍の中心部,辺縁部,および非腫瘍部の組織を抽出し,HE染色標本にて免疫染色などに使用する代表的切片を選択した.その際,膵癌症例の中に腺扁平上皮癌(adenosquamous carcinoma)が多施設に比べると多くみられたことから,これらの症例(9症例)をまとめてその臨床病理学的および免疫組織化学的特徴を米国のThe Pathologists’ meeting cap’12において発表した. 一方,膵癌および膵腫瘍の非癌部ではPanIN病変が認められたが,腫瘍から離れた部分ではPanIN1, PanIN-2がほとんどで,PanIN-3に関しては浸潤性膵管癌の主病巣近傍に認められるのみであった.また,この病変は浸潤性膵管癌の膵管内成分もしくはいわゆるcancerization of the ductsとの鑑別が困難であった.この点に関しては再度検討が必要と思われる.以前のわれわれの研究ではlow gradeのPanIN病変とgastric type IPMNは粘液形質が類似している点が明らかとなったが,今回,細胞増殖マーカー(Ki-67)や接着マーカー(E-cadherin)を免疫染色した結果でも両者の有意な差は得られなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Gastric type以外にintestinal type IPMNについてもPanIN病変との比較検討を行う予定であったが,腺扁平上皮癌での臨床病理学的なまとめを行った関係で少し予定が遅れた. EMT関連のマーカーなどについても検討を行う予定である.また,従来の免疫組織化学をするのではなく,組織ティッシュアレイの形にしてもう少し効率よく,データが集められるようにしていく予定である. 今回の検討ではやはりhigh grade PanINの定義がやや曖昧であるため,cancerization of the ductsとの異同を含め,より詳細な検討が必要と思われる.この点は当初平成26年度に予定していたが,少し計画を早めてやる方がよいのかもしれない.以上のように.まだ問題点も多く,本年度の達成度としては7割程度と言わざるを得ない.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の遅れを取り戻すとともに,今後はgastric type IPMNとintestinal IPMNの相互の関係について検討していく.最近の文献でもいくつか論文が出ているが,臨床的なものが多く,粘液形質以外の細胞マーカー,接着マーカーなどを用いて研究を進める予定である. また,膵癌の浸潤様式と既存組織の関わりについても当初平成26年度開始を予定していたが,少し早めに研究を開始する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
我々のこれまでの研究でIPMNはgastric typeとintestinal typeに大きく2種類に分かれ,gastric typeからoncocytic typeやpancreatobiliary typeが発生すると考えている.しかしながら,gastric type IPMNとintestinal type IPMNがどのような関係にあるのかについては詳細な検討がなされていない.そこで,外科症例のうち一つの症例でgastric typeとintestinal typeが共存する症例を中心にこの両者の関係について詳細に検討する.これまで検討し,集積してきたIPMN症例を中心にgastric typeとintestinal typeが混在する症例を抽出する.そして,それぞれの症例での両者の移行部を選び,代表的な部位に関して組織ティッシュアレイ用の組織を作製する.両者の移行部が小さいような病変では,laser capture microdissectionを行う.上記の組織を用いて,粘液形質(MUC1, MUC2, MUC6, MUC5AC, CDXなど)をはじめとして,細胞マーカー,接着マーカー, さらにKRAS2, TP/p53, CDKN2A/p16, COX-2, SMAD4/DPC4などを中心に免疫組織化学的に検討を行う. また,膵癌症例に関して,その浸潤様式と既存組織の関わりについても同時進行の形で研究を進める予定である.
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Imaging studies of intraductal tubulopapillary neoplasms of the pancreas: 2-tone duct sign and cork-of-wine-bottle sign as indicators of intraductal tumor growth.2012
Author(s)
Motosugi U, Yamaguchi H, Furukawa T, IchikawaT, Hatori T, Fujita I, Yamamoto M, Motoi F, Kanno A, Watanabe T, Koike N, Koyama I, Kobayashi J, Shimizu M
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Journal Title
J Comput Assist Tomogr
Volume: 36
Pages: 710-717
DOI
Peer Reviewed
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