2012 Fiscal Year Research-status Report
潰瘍性大腸炎の炎症性粘膜における発癌と浸潤に関わる蛋白の解明:プロテオミクス解析
Project/Area Number |
24590426
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
三上 哲夫 北里大学, 医学部, 准教授 (90286352)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 |
Research Abstract |
潰瘍性大腸炎(UC)の長期経過例では大腸癌が発生しやすいが、このUC関連癌は、浸潤したときに低分化になりやすいという特徴がある。粘膜内の早期腫瘍性病変である異形成におけるCD44細胞外ドメインの発現を検討した。 [方法]UC関連軽度異形成44、高度異形成49、浸潤癌52病変と、大腸のsporadicの軽度異型腺腫32、高度異型腺腫33、癌96例を対象とした。CD44細胞外ドメインの免疫組織化学染色を行い、発現強度と面積から発現をスコア化(0-12)して比較した。 [結果]UC関連病変では、軽度異形成、高度異形成、癌においてそれぞれ、1.7±1.5, 1.6±1.5, 1.2±1.1の発現スコアであった。これに対して、sporadic型大腸腫瘍では軽度異型腺腫、高度異型腺腫、癌でそれぞれ4.8±2.0, 4.0±1.8, 3.4±2.3であった。UC関連病変では、対応するsporadic腫瘍に比して有意に発現の減少が見られた。UC関連腫瘍においては発生の初期からCD44の異常が生じており、UC関連癌の発生・進展に影響を与えているものと考えられる。さらにADAM17などのCD44分解酵素の発現などの検索を追加する予定である。 また、UCの炎症粘膜のサンプルを用いて、プロテオーム解析を行ったところ、正常粘膜と比較して発現の増加ないし減少している蛋白が数種類同定された。そのうちの一つCarbonic anhydrase-2について、炎症粘膜における発現を組織上で確認を行ったが、UCの粘膜で発現低下を示していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
潰瘍性大腸炎関連腫瘍におけるCD44の発現の検討においては、症例の収集が重要であるが、申請時に把握していた症例に加えて、50例ほど上積みされたため、今後の解析で意義のあるデータが示される可能性が高くなった。
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Strategy for Future Research Activity |
潰瘍性大腸炎関連腫瘍におけるCD44などの発現解析は、今迄通り推進する。プロテオーム解析の結果、潰瘍性大腸炎粘膜において、CA-2が発現減少しており、この解析と合わせて次年度の主要なテーマとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
免疫組織化学 30万円 ウエスタンブロット 50万円 細胞培養 50万円 real time-PCR 50万円
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Research Products
(2 results)